「朝鮮日報」が文在寅(ムン・ジェイン)大統領とチョ・グク元法務部長官親子のイラストを不適切に使用した問題と関連し、3度目の謝罪文を発表した。
「朝鮮日報」は30日付のA28面に「読者の皆様にお知らせいたします」という見出しを付けた。この面には、イラストがネットに掲載された経緯▽再発防止対策▽当事者と読者への謝罪▽朝鮮日報倫理委員会(倫理委)の規定違反に関する責任所在の究明要請などが記載された。
これに先立ち、「朝鮮日報」はオンライン上に謝罪文を掲載したが、今回は紙面の一面を割いて謝罪文を出した。これは朝鮮日報倫理委員会の勧告による措置だ。倫理委は2016年に朝鮮日報がソン・ヒヨン元主筆の辞任および請託禁止法(金英蘭法)施行を機に作った組織で、同紙の取材・報道準則および言論倫理全般について審議し、諮問する役割を果たす。ソン・ボンホ高神大学碩座教授(委員長)など外部委員と、編集局幹部、労組委員長など内部委員で構成されている。倫理委は今月28日に会議を開き、不適切なイラスト使用に対する詳細な経緯の説明、責任所在の究明及び謝罪、再発防止対策などを勧告した。
同紙が明らかにしたイラスト掲載の経緯によると、同紙社会部大邱(テグ)取材本部のL記者は20日午後3時54分頃、「『先にシャワー浴びて』買春持ちかけ、財布盗んだ3人組」と言う見出しの記事を作成した。20代女性1人と男性2人からなる3人組の窃盗団が、買春を試みた男性から金品を盗んだ容疑で起訴され、裁判所で懲役6カ月、執行猶予2年の判決を受けたという内容だ。同記事は、同紙21日付のA12面に2段でイラストなしで掲載され、同日未明5時に朝鮮ドットコム(電子版)にも掲載された。掲載当初、イラストはなかった。
その後、イラストを直接検索して記事に入れたのは、L記者本人だった。同紙は「紙面にテキストだけが掲載された記事がそのまま電子版に掲載されると注目度が落ち、あまり読まれない場合が多い。そのため記者が後で関連写真やイラストを加えることがしばしばある」とし、「L記者も同じ理由で、後でイラストをつけたと述べている」と説明した。
L記者は記事に3人組の窃盗団が登場することから、「朝鮮日報デジタルメディア運営システム」で「3人組」や「男女混合」、「窃盗」などをキーワードに検索したが、適切なイラストが見つからなかったという。彼は代わりに「イラスト」という単語を入力し、約400件を調べてみたところ、当イラストを見つけ、21日午前6時27分、自分の書いた記事にイラストを追加した。ところが、この問題のイラストは2月27日付の「とにかく週末」セクションの「ソ・ミンの文派打破」の寄稿文に使われたものだった。朝鮮日報の説明によると、「このイラストには『(チョ・グク元法相の娘の)チョ・ミン追跡はストーキングではない、申し訳なく思わなくてもいい』という説明があった。しかし、L記者はこの内容を確認せず、不注意に記事と関係のないイラストを追加した」とし、「L記者も『検索当時、絵の中の人物がチョ・グク氏と娘のチョ・ミン氏を意味するとは知らなかった。確認が足りなかった』と認めた」という。
L記者はイラストを追加し、約2時間30分過ぎた午前9時頃、同僚記者からイラストに問題があるという話を聞いた。彼はすぐにイラストを入れ替えた。しかし、同日午後4時19分、別の同僚記者が、朝鮮日報のフェイスブックにはイラストが変わっていないまま当記事へのリンクが掲示されているという話を伝えた。L記者はこの話を聞くまで、フェイスブックにこのイラストが付いた記事が掲載されていることを知らなかったという。L記者がフェイスブックの担当者に記事のリンク削除を要請した時間は午後4時30分頃。同紙は「本紙のフェイスブックはSNS担当者を別に指定し、朝鮮ドットコム(電子版)の主要記事を選んでSNSに掲載している」と説明した。
L記者は、記事のイラストの入れ替えやフェイスブックのリンクを削除した事実を担当デスクに直ちに報告しなかった。朝鮮日報の経緯文によると、L記者は「以前にもイラストを入れ替えたことはあるが、特に報告はしなかった」と述べた。イラスト問題が大きくなり、23日午前7時37分、朝鮮日報経営企画室からL記者に関連内容を聞く電話があった。朝鮮日報の説明によると、誤ったイラストが入り問題が大きくなった48時間のあいだ、社会部担当デスクはイラストの入れ替えと問題発生の事実を知らなかったという。同紙は「取材デスクとデジタルコンテンツの責任者が、オンライン記事に問題が発生したにもかかわらず、これをきちんと把握できなかったオンライン管理・監督システム上の欠陥が確認された」と認めた。
「朝鮮日報」は、文在寅大統領のイラストが不適切に使用された経緯もチョ・グク元長官親子のイラスト問題と類似していると説明した。同紙の謝罪文によると、L記者は「イラストが文大統領と関連があることを知らなかった」と述べ、朝鮮日報のデータベースにあったイラストには「コロナマスクのイラスト」という簡単な説明だけが付いていた。
朝鮮日報倫理委は会議で、問題になった不適切なイラストの使用が、朝鮮日報倫理規範第11章第3条第1項(過去に撮影した資料写真や映像を使用する場合、過去のイメージであることを表示する)と、第2項(過去に撮影した資料写真や映像を当事者に不名誉な資料画面として利用しない)に違反したと判断した。同紙は「倫理委は倫理規定違反に対する責任所在の究明を朝鮮日報に要請した。これを受け、近いうちに懲戒委員会を開き、責任の所在を明らかにし、相応の措置を取ることにした」と明らかにした。
また、同紙は「言論倫理に反するという倫理委の勧告を重く受け止め、チョ・グク氏親子と文在寅大統領、読者のみなさんにもう一度お詫び申し上げます」として、再び謝罪した。 再発防止対策としては、ファクトチェッカーを導入し、デジタル点検を強化▽過去に描いたイラストの全面使用禁止▽出稿前に関連部署にイメージ点検の義務化などを提示した。
朝鮮日報倫理委員会委員のユン・ソクミン氏(ソウル大学言論情報学科教授)は、ハンギョレとの電話インタビューで、「委員全員が(不適切なイラストの使用は)事案が重大だと判断し、非常に迅速に会議を招集した」とし、「すでにオンライン上で2回謝罪したとはいえ、それでは不十分だと判断した。きちんとした経緯説明と謝罪を行い、成長・発展する姿を見せるべきだと(朝鮮日報に)提案した」と述べた。ユン教授はまた、「記者個人が悪意を持って行ったとは思えない。新聞社がデジタル転換を図る過渡期の状況で発生したシステム的問題の側面が大きい。だとしても、倫理委は責任の所在を適切に究明して責任を問う必要があると判断した」と説明した。