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慰安婦被害者の損害賠償をめぐる2件の訴訟で韓国裁判所の判断が分かれた理由は

登録:2021-04-22 06:08 修正:2021-04-22 07:41
1件目の裁判の「国家免除は例外」判決から一転、2件目では「現時点では有効」 
韓国裁判所、3カ月前とは正反対の判決
日本軍「慰安婦」被害者らが日本政府を相手に起こした2件目の損害賠償訴訟の公判が開かれた今月21日午前、ソウル瑞草区にあるソウル中央地裁で、イ・ヨンスさんが公判後、裁判所を後にしている/聯合ニュース

 日本軍「慰安婦」被害者たちが日本政府に損害賠償を求めた訴訟で、3カ月前の判決とは異なり敗訴したのは、国際法上の「国家免除」(主権免除)と朴槿恵(パク・クネ)政権時代に結んだ「韓日慰安婦合意」に対する裁判所の判断が分かれたためだ。1件目の訴訟では、判決後日本政府が対応を示さなかったため勝訴判決が確定したが、2件目の訴訟は原告の被害者女性たちが直ちに控訴する意思を表明しており、上級審の判断を再度受けなければならない。

 ソウル中央地裁民事合議15部(ミン・ソンチョル裁判長)は21日、イ・ヨンスさんや故クァク・イェナムさんら被害者20人が日本政府を相手取って起こした損害賠償訴訟で、原告の訴えを退けた。今年1月、被害者12人が日本に損害賠償を求めた訴訟で、日本政府に一人当たり1億ウォンの支払いを命じた同じ裁判所の民事合議34部(キム・ジョンゴン裁判長)の判断とは異なる結論を下したのだ。

 1件目と2件目の訴訟の結論を分けた分水嶺は「国家免除」に関する判断だ。これは日本政府が主張してきた内容で、国内の裁判所は他国に対する訴訟の裁判権を持たないという国際慣習法だ。1件目の訴訟で裁判部は「国家免除理論は、絶対的な規範(国際強行規範)に違反し他国の個人に大きな損害を与えた国家が、国家免除理論の裏に隠れ、賠償や補償を回避できるような機会を与えるために形成されたものではないため、このような場合、国家免除に関する国際慣習法の解釈に例外を認めるべきだ」と判断した。国家免除理論は恒久的で固定的な価値ではなく、多くの国の国内法で例外事由を定めるなど、国際法体系が個人の権利を保護する方向に移行していると判断したのだ。

 一方、2件目の訴訟の裁判部はこの日、「現時点で有効な国家免除に関する国際慣習法と、それに関する最高裁(大法院)の判例法理によると、日本政府を相手取って主権的行為に対して損害賠償を請求することは認められない」として、却下の判決を下した。「不法に占領された国家の領土内で不法行為が行われた場合、国家免除は適用されない」という条約に批准あるいは個別の法規定を設けている国は国連加盟国の約19%にすぎず、従来の国際慣習法が変わったとはいえないと判断したのだ。

 韓日慰安婦合意に対する裁判部の判断も分かれた。1件目の訴訟で、裁判部は2015年の韓日慰安婦の合意と1965年の韓日請求権協定が被害者の賠償を包括しなかったと判断した。これに先立ち、慰安婦被害者たちは1991年、日本の裁判所で何度も民事訴訟を起こしたが、全部棄却または却下されており、2000年に米国など国外裁判所に提示した訴訟の結果も同様だった。1件目の訴訟で裁判部は「日本政府が国際共同体の普遍的な価値を破壊し、反人権的行為で被害者に深刻な被害を加えた場合までも、最終的手段に選択された民事訴訟で裁判権が免除されると解釈すれば、不合理で不当な結果を招く」とし、「韓日請求権協定と韓日合意は被害を受けた個人に対する賠償を包括できず、交渉力や政治的権力を持てなかった被害者個人にとっては、訴訟以外には具体的な損害賠償を受けることが難しい」と強調した。

 しかし2件目の訴訟の裁判部は「日本政府に国家免除が認められた結果、被害者たちが韓国裁判所に提訴して権利救済を受けることが難しいとしても、“外交的保護権”の行使とみることができる2015年の韓日合意により、被害者たちに対する“代替的な権利救済手段”が客観的に存在する」とし、異なる判断を下した。2015年の韓日合意を慰安婦被害者の被害の回復に向けた日本政府レベルの措置だとし、被害者たちに対する代替的権利救済手段を調達するためのものとみなしたのだ。裁判部はまた、「(韓日慰安婦)合意で、日本政府の責任の性格を明確に規定できず、最終合意案に関して慰安婦被害者たちの意見を聴取しないなど、内容と手続きにおいて一部の問題点がある」としながらも、「この合意とこれによる後続措置によって、被害者たちのための代替的な権利救済手段が用意されたこと自体は否定しがたい」と付け加えた。

 2件目の訴訟で裁判部は、判決が外交政策と国益に潜在的な影響を及ぼしかねないという点にも言及した。現在の国際慣習法と違って日本政府の国家免除を否定することになれば、判決後の強制執行の過程で、日本政府との外交的な衝突が避けられないとして懸念を示したのが代表的な事例だ。裁判部は「(今回このような判断を下したのは)韓国と日本政府の間で成立した外交的合意の効力を尊重し、追加的な外交交渉を円滑に行うためであって、被害者らにとって一方的に不本意な結果を強要するためではない」としたうえで、「韓日合意によって被害者の権利が処分または消滅したとみるわけでもない」と付け加えた。

チョ・ユニョン記者(お問い合わせjapan@hani.co.kr )
http://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/992019.html韓国語原文入力:2021-04-21 20:33
訳H.J

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