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「司法壟断」に関与した元・現職判事、一審で有罪

登録:2021-03-24 06:28 修正:2021-03-24 10:36
イ・ミンギョル元判事、イ・ギュジン判事、執行猶予付きの懲役刑 
一審、裁判への介入の疑いなどを認定 
ヤン・スンテ前最高裁長官の裁判にも影響を及ぼすもよう
イ・ミンゴル元裁判所事務総局企画調整室長が2018年9月12日午前、司法壟断疑惑について調査を受けるため、ソウル瑞草洞のソウル中央地検に向かっている=パク・ジョンシウ記者//ハンギョレ新聞社

 ヤン・スンテ前最高裁長官時代の司法壟断疑惑に関わり起訴された元判事らが、一審で執行猶予付きの懲役刑を宣告された。司法壟断疑惑に関連する事件のなかで初の有罪判決だ。ヤン前最高裁長官やコ・ヨンハン、パク・ビョンデ元裁判所事務総長、イム・ジョンホン元裁判所事務総局次長など、司法壟断疑惑の中心的な被告人らとの共謀関係も相当部分が認められ、今後の彼らの裁判にも影響を及ぼすものとみられる。

 ソウル中央地裁刑事32部(ユン・ジョンソプ裁判長)は23日、職権乱用権利行使妨害などの容疑で起訴されたイ・ミンゴル元裁判所事務総局企画調整室長に懲役10カ月、執行猶予2年、イ・ギュジン元最高裁量刑委員会常任委員(量刑室長)に懲役1年6カ月、執行猶予3年をそれぞれ宣告した。パン・チャンヒョン元済州地裁部長判事とシム・サンチョル元ソウル高等裁判所長には、それぞれ無罪を宣告した。裁判部が「記録の検討と判決書の作成に時間が必要」として当初は先月18日に予定されていた一審判決を2度延期した後に下された初の有罪判決だ。

 裁判部は、イ・ミンゴル元室長とイ・ギュジン元常任委員が、イム元次長らとともに上告裁判所の導入などの司法政策に批判的な判事の集まりである国際人権法研究会を解散させるため、「専門分野の研究会への重複加入者の脱退措置」を告知させた疑いなどを認めた。また、イ・ギュジン元常任委員が、パク元事務総長らとともに、憲法裁判所の地位を高められる限定違憲の趣旨の違憲提案の決定を職権で取り消し、単純違憲の趣旨に再決定させ、旧統合進歩党の国会議員による行政訴訟の一審裁判に介入した疑いなども有罪と判断した。イ・ギュジン元常任委員が憲法裁判所を牽制するために、憲法裁判所へ派遣された裁判官に憲法裁判所内部の事件情報や動向を収集させた疑いに対しては、ヤン元最高裁長官、コ、パク元事務総長、イム元次長との共謀関係を一部有罪と認定した。

 裁判部は、イ・ミンゴル元室長について「裁判所事務総局が推進する司法政策について公開の場で異なる意見を明らかにするという理由で、国際人権法研究会を主導した小会合を解散させようとしたイム元次長の意見に同意し、(専門分野の研究会への)重複加入の解消措置の告知を掲示させた」と判断した。

イ・ギュジン最高裁量刑委員会常任委員(当時)が2018年8月23日、ソウル瑞草洞のソウル中央地検に向かいながら記者の質問に答えている=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 続いて、イ・ギュジン元常任委員に対しても「憲法裁判所に派遣された裁判官に、職務範囲から逸脱し憲法裁判所の事件情報や資料を伝達させ、司法政策室審議官に正当な職務範囲を逸脱し裁判の独立に反する違法で不当な報告書を3回も作成・報告させた」とし、「イ元常任委員は自身が判事でありながら、裁判権の行使を2度も妨害するなど重大な犯行を犯した」と指摘した。

 一方、裁判部はシム・サンチョル元高裁長の無罪を宣告し、「旧統合進歩党の国会議員による行政訴訟事件の控訴審への割り当てが異例な形で行われた」としながらも「シム元高裁長が、裁判所事務総局の望む方向に判決が下されるよう特定の裁判部に割り振ることに関与したとみなすのは難しい」と判断した。また、パン元部長判事が、裁判所事務総局の要求を受け、自身が担当した旧統合進歩党の比例代表地方議会議員による行政訴訟事件の判決結果と判決理由を漏えいした疑いに対しても「パン元部長判事の意見に過ぎず、職務上の秘密には当たらない」とし、無罪を宣告した。

 一方、二人の元裁判官に対する今回の一審有罪判決は、公訴事実のうちの相当部分が重なっていることから、ヤン前最高裁長官とコ、パク元事務総長、イム元次長らの裁判に影響を及ぼすものとみられる。ヤン前最高裁長官とコ、パク元事務総長の裁判を担当する裁判部は、先月の裁判所定期人事で、部長判事3人により構成される対等裁判部に再編された。裁判は来月7日に再開される予定。この日宣告した裁判部が審理しているイム元次長の裁判は、今月29日に開かれる。同じ裁判部が、憲法裁判所の派遣裁判官に憲法裁内部の事件情報や動向を収集させたこと、および国際人権法研究会を牽制するために重複加入の解消措置を施行したことなどのイム元次長との共謀の疑いを認めただけに、イム元次長の裁判でも不利に作用するものとみられる。

 司法壟断に関与した裁判官を起訴した検察捜査チームは、この日立場文を発表し「司法行政権者の違憲的な裁判介入行為に対し、職権乱用権利行使妨害の有罪を認めた初の判決という点で意味がある」と評価した。ただし、捜査チームは「裁判の独立を侵害した司法行政権の濫用など多数の犯罪事実に対し、多くの法理的・事実的な争点が審理され、その判断の結果を受け、有罪と無罪に分かれた」とし、「判決文を綿密に検討し、控訴するかどうかを決める」と述べた。

 これに先立ち、司法壟断疑惑に関わり裁判に掛けられたシン・グァンニョル部長判事、チョ・ウィヨン部長判事、ソン・チャンホ部長判事とユ・ヘヨン弁護士は、控訴審でそれぞれ無罪を、イ・テジョン元ソウル西部地方裁判所長とイム・ソングン元部長判事は、一審でそれぞれ無罪を宣告されている。

チョ・ユニョン、シン・ミンジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/987954.html韓国語原文入力:2021-03-24 02:47
訳M.S

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