韓国の研究チームが、メタンや二酸化炭素などの温室効果ガスを水素に変える新たなナノ触媒を開発した。
蔚山(ウルサン)科学技術院(UNIST)は8日、「浦項工大と米ペンシルベニア大学との共同研究で、メタンと二酸化炭素を水素や一酸化炭素にする触媒を発見した」と明らかにした。
温室効果ガスの水素化の過程には、ニッケル金属複合体が触媒として使われる。しかし長く使えば性能が落ち、寿命も短い。高温処理の過程で触媒同士が固まり、反応を繰り返すと触媒表面に炭素がたまる「コーキング現象」が起きる。
UNISTエネルギー化学工学科のキム・ゴンテ教授の研究チームは、触媒の核となる物質であるニッケルを複合体の表面にうまく現れるようにする方法を考案した。キム教授は「鉄の薄膜を複合体触媒の表面に蒸着させるのが要となるアイデア」と説明した。ニッケルは複合体の外に出ようとする性質が強く、鉄は中に入ろうとする性質が強いため、二つの物質が位置を変えるという説明だ。実験の結果、新たに現れてきたニッケルにより、粒子同士の凝固やコーキング現象が抑制され、外に出たニッケルが鉄と結合して反応が良くなった。
研究チームの論文は、科学ジャーナル『サイエンス』の姉妹誌『サイエンス・アドバンシス』の最新号に掲載された。論文の筆頭著者であるエネルギー工学科のソン・アリム修博士統合過程研究員は「鉄の薄膜を20回繰り返して蒸着させたら、単位面積当たり約400個を超える鉄-ニッケル合金ナノ粒子ができ、触媒反応性を高めた」と話した。研究チームが新触媒でメタンを水素に変換したところ、700度で70%以上の高い変換効率を示した。また、400時間以上にわたり安定性が維持された。これは従来の触媒の2倍以上の効率だ。キム教授は「新触媒は様々なエネルギー変換分野で使われるだろう」と述べた。