社内下請けは違法という最高裁(大法院)判決が下されてから10年が過ぎたが、下請け労働者は依然として違法派遣と元請けによるパワハラという二重苦にあえいでいることが明らかになった。2010年7月22日、最高裁は元請け企業の現代自動車に対し、形だけの請負契約形態を維持しながら賃金支給と業務指示の権限を行使して実際は派遣労働者を雇用する行為は違法とし、直接雇用の責任があると判決を下した。
市民団体「職場パワハラ119」が19日に公開した被害事例を見れば、下請け労働者が体験する差別がよくわかる。下請け労働者のA氏は「本社の管理者が常駐する物流センターにはエアコンをずっと使わせているが、下請け労働者が主に働く現場では気温が35度を超えてもエアコンを使わせてくれない」として差別被害を訴えた。「罵倒に等しいことを言われて、下請け・元請け双方の事業主に申告したが何の措置もとられなかった」という情報提供もあった。ある公共機関の3次下請け会社の労働者であるB氏は「夜間勤務をしても、下請け労働者には食事時間が与えられず、業務の合間にカップラーメンであたふたと空腹を癒している」と話した。
不当な処遇に対抗するために下請け労働者たちが労働組合を作れば、戻ってくるのは“補償”ではなく“報復”だけだった。下請け労働者のC氏は「労組を作って元請け事業主に交渉を要請すると、下請け会社の社長に言えと答え、裏で『契約を解除する』として露骨に労組解体を試みた」と話した。
下請け事業場は、5人未満の事業場と共に「職場内嫌がらせ禁止法」が適用されない代表的な労働死角地帯だ。派遣法は、製造業の直接的な生産・工程業務に対する派遣を禁じているが、元請け企業などの違法派遣は続いている。職場パワハラ119は、間接雇用労働者の労働条件に関して、元請け企業らは「使用者ではない」として法的責任を回避していると批判した。
職場パワハラ119は「間接雇用労働者も職場内の嫌がらせから保護されるよう法改正が必要だ」として「職場内嫌がらせ禁止法の適用対象に元請け事業主・管理者も含ませ、特殊雇用労働者、4人以下の事業場の労働者も適用されるよう改正しなければならない」と主張した。
下請け労働者は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による苦痛も正社員の2倍も被った。職場パワハラ119が先月、会社員1千人を対象にしたアンケート調査の結果によれば、新型コロナ以後の6カ月間、本人の意志と関係なく失職を経験したと答えた非正規職労働者は26.3%で、正規職労働者(4.0%)に比べ6.5倍も多かった。新型コロナにより企業の状況が厳しくなると、会社が契約解除を通じて下請け労働者を容易に解雇したためだ。
職場パワハラ119は、職場内嫌がらせ禁止法改正▽下請け労働者に対する新型コロナ対策整備▽元請け企業に対し違法派遣の責任を問う2010年現代自動車判決履行▽元請け企業が使用者として交渉などに責任を負うよう労組法の改正を要求した。