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死亡事故の翌日、労働者また倒れる…現代製鉄に何が?

登録:2020-06-16 01:26 修正:2020-06-16 11:14
労働者死亡の翌日、別の労働者も熱中症で倒れる
金属労組が15日午前、雇用労働部天安支庁前で記者会見を開き、9日に現代製鉄唐津工場で高温作業中に死亡した日雇い労働者に対する速やかな重大災害指定と、労働者保護対策作りを労働部に求めている=金属労組提供//ハンギョレ新聞社

 9日に現代製鉄唐津(タンジン)工場で40度を超える高温の中で働いていた日雇い労働者が死亡したが、その翌日にも、同じ工場で別の労働者が高温作業中に倒れていたことが確認された。金属労組は記者会見を開き、労働部が労働者保護対策を直接講じることを要求した。

 15日の現代製鉄と金属労組の話を総合すると、今月10日午前10時10分ごろ、現代製鉄唐津工場で働く下請け企業の労働者Aさん(50)が、製鉄所のコークス工程で部品の交換作業を行っていたところ倒れ、病院に運ばれた。日雇い労働者のPさん(54)が同工場内で高温作業をしている途中に死亡した翌日だった。現代製鉄の関係者は「Aさんは現場ですぐに意識を回復したが、病院に搬送し治療を受けさせた。現在は通常通り出勤するほど健康な状態」だと語った。

 Aさんが倒れたことで、雇用労働部天安(チョナン)支庁は2日後の12日、現代製鉄唐津工場に部分操業停止命令を下した。部分操業停止命令書の中で同支庁は、死亡したPさんとともにAさんの事例に触れ、「同様の事故の予防のため、労働者の健康保護対策を立てる必要がある」と述べた。同支庁はPさんの死亡後、現代製鉄に対して「高熱・高温作業に対する労働者の健康保護対策」をまとめ、報告するよう行政指導(11日)しただけで、これと言った措置を取っていなかったが、Aさんが倒れたため追加措置を講じたかたちだ。

 金属労組は「労働部が手をこまねいて判断を先送りしたまま、労働者を危険にさらしている」と反発している。金属労組はこの日、天安支庁前で記者会見を開き、「労働部天安支庁は、蒸せかえる熱気の中で保護を受けられず倒れた労働者の死を前にして、個人の疾病を云々するばかりで何もしていない。せめてこれから、天安支庁が直ちに高温作業所をすべて点検し、対策を講じるべきだ」と述べた。

 労働部が死亡したPさんについて「重大災害」かどうかの判断を先送りしたことをめぐっても、政府と労働界が対立している。国立科学捜査研究院は今月11日、Pさんの解剖を行い、1回目の解剖所見でPさんの死因を「冠状動脈による急性心筋梗塞」と推定している。

 労働部は、時間がかかっても最終解剖結果と労働部の調査結果が出そろってから、Pさんの死亡と業務との関連性を問うという態度だ。労働部天安支庁のチョ・ジュンボム安全政策第2チーム長は「国科捜の1次解剖所見だけだと、Pさんの死因は高温作業による熱中症、持病による心筋梗塞のどちらとも解釈できる」とし、「より正確な解剖の最終結果が出るには、今後最低1カ月以上かかるが、それまでは重大災害なのかを判断することはできない」と述べた。

 しかし、この日の記者会見で金属労組は「高温にさらされて体温が上昇し、汗の排出による脱水症状が起きると、冠動脈が詰まって急性心筋梗塞が起きる可能性がある。救急車が出動した際、Pさんの体温は40.2度だった。長時間にわたり高温で作業したことが死亡に影響を及ぼした可能性がある」と主張した。金属労組のカン・ジョンジュ労働安全保健局長は、労働部の方針について「結局、何もしないで時間を過ごし、猛暑が終わった後に形式的な決定をするということ」と指摘した。

チェ・イェリン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/chungcheong/949418.html韓国語原文入力:2020-06-15 16:45
訳D.K

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