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「軍艦島」強制労働を否定…日本の「産業遺産」展示室で歴史歪曲

登録:2020-06-14 23:50 修正:2020-06-15 11:23
[世界遺産登録展示室を日本国内外のメディアに公開] 
「犠牲者を記憶にとどめる」という約束を覆し、 
「いい環境で生活した」などの内容満載 
 
強制労働を否定する団体に委託し運営 
日本メディア「歴史修正主義の助長」と批判
東京都新宿区の「産業遺産情報センター」内部に、朝鮮人が強制労働をさせられた端島の姿がパノラマ映像で展示されている=産業遺産情報センター提供//ハンギョレ新聞社

 「(端島など一部の産業施設で)かつて1940年代に朝鮮半島出身者が意思に反して連れてこられ、厳しい環境の下で働かされたことがあった。インフォメーションセンターの設置など、犠牲者を記憶にとどめるために適切な措置を取る」

 東京都新宿区に位置する「産業遺産情報センター」。朝鮮人が強制労働をさせられた端島(軍艦島)などが含まれた「明治日本の産業革命遺産」に関する展示施設である当センターが15日、一般公開される。一般公開前日の14日、日本の国内・国外メディアの一部に公開されたこの施設に入ると、入口に日本が2015年に明治日本の産業革命遺産をユネスコ世界遺産に登録するまでの沿革が書かれている。沿革の一番下に、当時のユネスコ会議で日本政府代表が述べたこの発言が書かれている。しかし、この日公開された産業遺産情報センターでは、この文言以外、日本政府がユネスコ世界文化遺産に登録する際に約束した犠牲者を記憶にとどめるための措置はなかなか見受けられなかった。

 「徴用などに関する文書を読む」という案内板には、「日本が太平洋戦争時に国民徴用令を出した」という内容が書かれていたが、朝鮮人強制動員の被害は明確に記述されていなかった。むしろ「労働人口は朝鮮半島と日本本土を頻繁に往来した」という文句を入れ、朝鮮人労働者が自由だったという印象を与える恐れもあった。

 面積1078平方メートル、65インチの大型スクリーン2台の映像スクリーン18台を動員し、華やかに飾った展示場の内部を埋めたのは、大半が日本の近代産業の発展を誇示する内容だった。朝鮮人に対する展示は、端島で良い環境で生活したというような歪曲された展示が大半だった。「太平洋戦争期に端島で暮らした」という在日韓国人2世の鈴木文雄氏(故人)の生前の証言などを盛り込んだ映像や案内板が代表的だ。案内板などには「端島炭鉱で働いた父を誇りに思った」というタイトルが付けられた。映像では「いじめられたのか」「朝鮮人はムチで殴られたのか」などの質問に対し、「いいえ」「働かなければならないのになぜ殴るのか」などと答えている。

 産業遺産情報センターの加藤康子センター長はこの日、ユネスコ世界遺産登録審査の際、日本政府が約束した「犠牲者を記憶にとどめるというほどの展示はない」という趣旨の質問に対し、「犠牲者は『当時の環境の犠牲者』(victim of circumstances)とだけなっている。これには朝鮮人、台湾人、日本人がすべて含まれる」とし、「虐待を受けた人はいなかった」と主張した。

 日本政府が明治産業革命遺産として申請した施設は、明治時代(1868~1912年)に建設された炭鉱、製鉄所などで、端島だけでなく多くの施設が朝鮮人強制動員と強制労働の歴史がある所だ。

 日本政府は以前から、朝鮮人強制労働の犠牲者を記憶にとどめる気はないという兆候を見せてきた。2017年にユネスコに提出した最初の報告書「保全状況報告書」で、「朝鮮半島出身者が日本の産業現場を支援したことを理解できるよう展示する」とした日本政府は、昨年2回目の報告書では、朝鮮人強制労働被害者に関する言及自体を削除した。さらに、産業遺産情報センターの運営を委託された財団法人「産業遺産国民会議」は、朝鮮人強制労働を否定したり希釈する内容の独自の報告書を作成してきた団体でもある。

 共同通信は匿名の日本政府関係者の話として、日本政府が今回の展示を通じて、日本の植民地支配当時、端島で朝鮮人労働者が非人道的な待遇を受けていたというこれまでの定説を「自虐史観」として反論しようとする意図があると報じた。同通信は「過去の事実を隠蔽し、『歴史修正主義』を助長しているとの批判を受ける可能性もある」と報道した。

東京/チョ・ギウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/949317.html韓国語原文入力:2020-06-14 21:04
訳C.M

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