「社会的距離措置」(ソーシャル・ディスタンシング)が緩和された20日早朝6時30分、ソウル鍾路区(チョンノグ)のあるプールは、早い時間にも関わらず会員たちで混んでいた。5つのレーンではレーンごとに4~5人の会員が力強く水を割いていた。
高齢層も多く目についた。70代と見られるある女性会員は「今日私たちの集まりの会員8人が来るだろう」と浮き立った声で語った。COVID-19勃発前の1月に比べ利用者が20%ほど減りはしたが、2週間の高強度のソーシャル・ディスタンシングの直後であることを考慮すれば意外な「盛況」だった。“シュノーケル”(潜水用チューブ)を付けてCOVID-19を予防する会員も多くいた。スポーツセンターの相談職員は「今日から通常営業をするのにまだよく知らなかったり、COVID-19が心配なために来られない会員も結構いるようだ」と伝えた。
政府はこの日から宗教・遊興・室内体育施設と学習塾など四大集団施設に対する「運営中断」勧告を「運営制限」勧告に緩和した。集団感染の危険が高いと見られた施設だ。事業主は嬉しい表情で一斉に扉を開き、ソーシャル・ディスタンシングに疲れた市民たちは体育施設を訪れて体を広げた。代わりに入退室時の発熱チェック、人との間隔の維持、共用物の使用禁止、換気など「防疫指針」も丁寧に用意する様子だった。
COVID-19が拡散した2月下旬に休業してから20日ぶりに開業したソウル麻浦区(マポグ)のあるヨガ学校は、建物の入口に熱感知カメラを設置してすべての訪問者の体温をチェックしていた。講師を含めて20人だった受講者は10人ほどに調整し、互いに2メートルほどの距離を取ることを可能にした。すべての受講生はヨガをする間はずっとマスクを外さなかった。このヨガ学校のある受講生(32)は「COVID-19のせいで心配になったが、距離を取って物静かに進められる授業を見て安心した」と語った。
ただし、日常を回復するには早い時期であるだけに、事業主と市民には緊張感が感じられた。ソウル瑞草区(ソチョグ)で剣道道場を運営するキム・ジョングォンさん(37)は「会員が120人ほどいるのに、今日また来ると言った会員は20~30人程度だ。他の道場でも10人前後だけが来たという」と伝えた。キムさんは営業再開に先立ち防疫体制を徹底的に準備した。入退室台帳はもちろん、「消毒台帳」「換気台帳」まで作って消毒時間と換気時間を入念に点検している。剣道をする際に防具を使えばマスクを付けにくいだけに、顔面保護フィルムを別に買って異物が飛ばないように口の前を防いでおいた。大邱(テグ)でCOVID-19の最初の感染者が発表された2月18日以後は休業していたある大邱地域のテコンドー道場も、この日3カ月ぶりに扉を開いた。主に中高校生が訪れるこのテコンドー道場の道場主のKさんは「2メートル距離を保って10人定員制で授業をしようとしている。両親がまだ不安に思っているだけに、3カ月前に比べて20~30%だけが来るようだ」と述べた。彼は「今回の機会に休んで老朽化した所を整備した。大変だが整備していく時間だと考えている」と語った。
政府の「運営中断」勧告対象ではないが高強度のソーシャル・ディスタンシングの雰囲気により在宅勤務をした業者も出勤を再開し、運営を取りやめたグループ活動も開かれる様子だ。この日のSNSには「久しぶりに出勤するのでつらい」や「楽しみ」という会社員の感想が相次いで投稿された。50人の団員から成るある社会人オーケストラの団員は、「25日から50人の団員を4つの部門に分けて、約10人ずつ練習を進める予定だ。マスク着用が不可能な管楽器を除くすべての団員はマスクをつけて練習することにした」と伝えた。