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選挙公報の「自習」だけで初めての投票に臨む18歳

登録:2020-04-14 09:13 修正:2020-04-14 12:32
教育当局、「教室の政治化」懸念で消極的 
新型コロナによる始業延期まで重なり 
模擬投票・公約分析などを体験する選挙教育を一度も受けず投票所へ
13日、ソウル鍾路区平倉洞で開かれたある政党の候補者の街頭演説で、ある参加者が「18歳以後、初の投票を応援します」と書かれたカードを持って投票参加を応援している//ハンギョレ新聞社

 公職選挙法の改正で、今月15日に生まれて初めての投票に臨む18歳の有権者たちが、結局まともな選挙教育も受けることもできないまま投票所に向かう。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の長期化による始業延期に、「教室の政治化」批判を意識した教育当局の消極的な対処が加わり、「18歳有権者の誕生」という当初の趣旨が色あせたという指摘が出ている。

 今年から選挙権を持つことになった18歳の「新人有権者」は53万人、このうち高校生有権者は14万人あまりだ。11日、父親と一緒に自宅近くの役場で事前投票を終えた京畿道の安山東山高校3年生のS君(18)は、「記票所を出たら初めて大人になったような気がした」と言いながらも、「候補をよく知って投票したという気はしなかった」と話した。15日に投票を控えた同じ学校のキム・ウォンジェ君(18)は「公約についてよく分からない状態で投票して、むしろ自分の一票が地域の発展に役立たないんじゃないかと不安」と話した。入試勉強をする時間を割いて分厚い選挙公報をあれこれ読んだが、「候補たちの公約が互いにどう違うのか、判断するのが難しかった」という。

 実際、今回の選挙を前に、学校で選挙教育はほとんど行われなかった。S君は「学校で自主活動の時間に中央選挙管理委員会(選管)が作った動画を見ろと案内されたが、『投票の意味』のようなありきたりな内容で、それさえも生徒が自主的に見るものだった」と話した。選管が送った広報メールの案内で終わった学校もある。

 教育部は今年1月初め、「関連教科および創意的体験活動の時間に活用できる選挙教育の教授・学習資料を開発し、高校の選挙教育を支援する計画」だと明らかにしたが、COVID-19事態を経て未だ実施していない。教育当局はCOVID-19という予測せぬ要因を強調するが、専門家らは「模擬選挙教育の座礁」というもう一つの要因が大きな“悪材料”になったと指摘する。

 模擬選挙教育は実際の候補・政党を対象に公約分析などを進め、これを土台に生徒らが模擬投票をする過程全体をいう。模擬選挙教育を経験した生徒たちは「『政策選挙』の重要性を知り、現実の政治に対しても関心を持つようになった」と口をそろえた。ソウル市のドソン高校3年生のチョ・ヒヨンさん(18)は「模擬選挙教育を受けていなかったら、投票に行かなかったかもしれない」と話した。チョさんは2018年、学校でソウル市教育監の模擬投票を行ったことを思い浮かべ、当時の経験が候補者を選ぶのに大きく役立ったと話した。

 「ろうそく青少年人権法制定連帯」のペ・ギョンネ共同執行委員長は「オンライン始業をしたので教師は遠隔ででも選挙教育ができるはずだが、教育部が批判を意識して消極的に対処したようだ」とし、「青少年有権者が政治的効能感を味わえるよう、公約が政策につながる全体的な過程に対する教育が必要だ」と強調した。

イ・ユジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/936932.html韓国語原文入力:2020-04-14 07:05
訳C.M

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