検察が3日、チョ・グク法務部長官の妻のチョン・ギョンシム東洋大学教授(57)を非公開で呼んで取り調べた。検察がチョ長官関連の疑惑に関する捜査を始めてから37日目である。チョン教授は今回の事件の大部分の疑惑に関与した中心人物で、チョ長官に関連した検察捜査は頂点に駆け上っている。検察はチョン教授に対する取り調べ結果を検討し、拘束令状請求の可否とチョ長官に対する調査の可否を決める方針だが、その結果により、チョ長官の去就と検察捜査の正当性に結論が出ると見込まれる。
チョン教授はこの日午前9時、取材陣を避けて弁護人1人とともにソウル中央地検の地下駐車場を通って検察に出頭したことが分かった。チョン教授は11階にある特殊2部(部長コ・ヒョンゴン)の調査室に行き、午後5時まで8時間の取り調べを受けた。検察関係者は「チョン教授が健康状態を理由に調査を中断するよう要請したので、帰宅させた」として、「取り調べる内容が多いため、後日再度、出頭するよう伝えた」と述べた。検察は当初、チョン教授をソウル中央地検庁舎の1階ドアに来るようにして、事実上、“公開召喚”する方針だったが、チョン教授の健康状態などを考慮し、最近、非公開召喚に方針を変えた。
チョン教授はこの日、自身に対して提起された嫌疑を全て否認したことが明らかになった。教授はこれに先立ち自分のフェイスブックに、「マスコミ報道は事実ではない」と主張してきた。
チョン教授は先月6日、娘の大学院進学などのために東洋大学学長名の表彰状を偽造した疑い(私文書偽造)で起訴されたが、検察はチョン教授について他に4〜5件の嫌疑を抱いている。偽造された表彰状をソウル大学、釜山大学の医学専門大学院の入試などに使った疑い(私文書偽造行使)と大学の入試選考を妨害した疑い(公務執行妨害など)がある。また私募ファンド投資疑惑に関連して、運用会社であるコリンク・プライベート・エクイティ(コリンクPE)の株式を借名で保有し、投資先の経営にも介入したという疑いをかけられている。公職者倫理法と資本市場法に違反した可能性が提起されている。また、チョ長官の5親等の甥がファンドの投資先であるWFMから10億ウォンを横領してチョン教授に渡したと見て、チョン教授を横領罪の共犯と疑っている。これ以外にも、資産管理人の役目を果たした韓国投資証券のK氏を通じて自宅のパソコンのハードディスクを取り替えさせたなど、証拠隠滅を教唆した疑いをかけられている。
検察はチョン教授を追加調査した後、拘束令状請求の可否など身柄処理の方向を決める予定である。検察が拘束令状を請求すれば、その発行可否によりチョ長官の去就はもちろん、政局の行方にも大きな波紋を広げると見られる。検察捜査の正当性にも相当な影響を及ぼすことがあり得る。検察内部では、「令状請求は不可避だ」という主張と「現職長官夫人であるだけに、在宅捜査にしよう」との主張が出ていることが分かった。
一方、検察はこの日の夕方、チョ長官家族が投資した私募ファンド関連疑惑の“キーマン”であるチョ長官の5親等の甥を、資本市場法上の不正取引・虚偽公示、特定経済犯罪加重処罰法上の横領、業務上背任、証拠隠滅教唆などの疑いで拘束起訴した。チョ長官家族の疑惑に関連して裁判に渡されたのは、チョン教授に続きこれで二人目だ。