開天節(韓国の国慶日のひとつ)の3日、ソウルの光化門(クァンファムン)広場一帯でチョ・グク法務部長官の辞任を求める大規模集会が開かれた。自由韓国党はこの集会の参加人数を300万人、「文在寅(ムン・ジェイン)下野汎国民闘争本部」は200万人とそれぞれ主張しているが、現政府成立後に開かれた保守系集会としては最大規模だ。保守政党はもとより、キリスト教系の保守団体、一部大学生の連合集会にいたるまで、保守勢力が勢ぞろいした結果だ。9月28日にソウル瑞草洞一帯で検察改革を求め開かれた「100万ろうそく集会」に刺激された保守勢力が向かい火を放ち、「勢力対決」が繰り広げられているかたちだ。
保守系の市民が光化門での史上稀に見る規模の集会によってチョ長官の辞任を要求したことは、それ自体軽く見るべきではない。チョ長官とその家族に対する検察の無理矢理な捜査の進め方によって市民の検察改革要求が沸騰したのは事実だ。しかし、この日の集会はチョ長官の辞任を求める声も少なくないことを明確に示した。文在寅大統領と共に民主党は、検察改革を要求する声と共に、この日の集会参加者たちの声にも耳を傾ける姿勢を見せなければならない。
これまで、それぞれ個別に声を上げていた保守勢力が、大規模集会を通じて単一隊伍を形成するような姿勢を示したのも尋常ではない。「チョ・グク政局」をきっかけに保守勢力の反政府闘争が勢いを増している状況だ。政府与党はこれまでの国政運営が攻撃の口実を与えていなかったか、冷徹に振り返るべきである。
集会で一部の参加者が文大統領の退陣や弾劾を求めたのは非常に不適切だ。朴槿恵(パク・クネ)前大統領を弾劾に追いやったチェ・スンシル事態と今回の件を比較するのはまったく理にかなっていない。今回の事態を利用して大統領を何とか揺さぶってやろうという不純な意図さえ読み取れる。
何よりも懸念されるのは、検察改革を要求するろうそくデモと、チョ長官の辞任を要求するいわゆる「反チョ・グク」デモが、相乗効果で「勢力対決式」の野外集会競争に拡大することだ。28日のろうそく集会に予想を上回る市民が参加し、自由韓国党や保守キリスト教界はこれを超えるとして総動員に乗り出したものとみられる。
どちらに属しているにせよ、2度の大規模集会で今回の事態を見つめる市民の意思は十分に明らかになった。「チョ・グク政局」が長引いて双方が勢力対決を続けるのは国の不幸だ。検察改革の推移とチョ長官捜査の進行状況をじっくり見守りつつ、今回の事態が大きな問題なく終わるよう、両者は忍耐力を発揮すべきである。
誰よりも政権与党の民主党と野党第一党の自由韓国党は、消耗的な勢力対決が続かないよう、落着きをとりもどすべきだ。このような中で事態を煽って政治的利益を得ようとしてはならない。責任ある政党が市民の声に耳を傾け、事態の解決策を見出すべきである。