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[インタビュー]「日帝占領の最大の被害者である女性・労働者像、並んで建つべき」

登録:2019-01-02 23:42 修正:2019-01-03 10:06
民主労総釜山本部のキム・ビョンジュン組織局長
キム・ビョンジュン建立特委委員長がハンギョレとインタビューしている=キム・ヨンドン記者//ハンギョレ新聞社

 「日帝強占期(日本の植民地時代)の強制徴用労働者問題は、日本軍『慰安婦』問題同様、民族の問題です。過去の歴史問題を認めず、反省もしない日本政府から、心からのお詫びと賠償を引き出さなければなりません。このような意味が込められた労働者像を、必ず釜山の日本総領事館の前に建てます」

 2日、民主労総釜山本部事務所で会ったキム・ビョンジュン委員長(「積弊清算・社会大改革釜山運動本部強制徴用労働者像建立特別委員会」委員長)の声に力が入った。韓進重工業の下請け会社の労働者だった彼は2008年、労働運動に飛び込んだ。今は民主労総釜山本部組織局長を務めている。彼が強制徴用労働者問題に関心を持つようになったのは、浮島丸沈没事件を知ってからだ。日本の軍事施設に連行され強制労働を強いられた朝鮮人労働者を乗せて、韓国に向かっていた浮島丸は、1945年8月24日に原因不明の爆発により沈没し、数多くの死傷者が出た。

 彼は「2010年になってやっとその事件をまともに知るようになった。犠牲者は朝鮮人強制徴用労働者とその家族だった。自然に強制徴用労働者に関心を持つようになり、同じ労働者として、強制徴用労働者問題の解決に先頭に立つべきと考えた」と話した。

 彼は、強制徴用労働者問題は掘り下げれば掘り下げるほど、凄惨だったと語った。日帝は1937年に日中戦争を起こした後、国家総動員法を制定し、敗北前の1945年まで朝鮮を収奪した。この期間に強制動員された朝鮮人は250万~800万人と推定される。「彼らのほとんどは無力で、貧しい青年と青少年だった。暴行と脅迫に苦しみながら、長くは1日17時間働いた。死んでいった労働者も数え切れないほど多かった。しかし、日本政府は心からのお詫びも賠償もしていない」と、キム委員長は話した。また「韓国政府も被害者の回復には関心がなかった。朴正煕(パク・チョンヒ)政権は1965年、韓日協定で5億ドルを受け取り、国民間の請求権問題が完全に解決したと日本政府と合意した。怒りが込み上げた。強制徴用労働者の恨みを晴らすため、歴史を正すため(強制徴用労働者像の建立に)乗り出した」と、彼は語った。

 強制徴用労働者像第1号は、朝鮮人労働者が強制的に連れて行かれ、厳しい労働を強いられた日本の丹波マンガン鉱山に、2016年8月に建てられた。民主労総と韓国労総が、被害労働者の人権蹂躙の実態を伝え、被害者たちの名誉を回復するため設立した。その後、国内でも建立運動が起こり、これまでソウルや仁川(インチョン)、慶尚南道、済州などに設置された。

昨年、釜山日本総領事館前  
強制徴用労働者像の設立を推進  
市民約6500人が1億ウォンの募金  
昨年5月に建立試みたが政府に阻まれた 
 
「全国各地の遺族らから感謝メッセージ  
市民の意思を基に今年に必ず建てる」

 一昨年9月11日、民主労総釜山本部は釜山東区(トング)の日本総領事館前に強制徴用労働者像を建設すると発表した。さらに昨年1月、「5月1日のメーデーを迎え、日本総領事館前の『平和の少女像』の隣に労働者像を建てる」と宣言した。市民団体と共に建立特委も立ち上げた。彼は「特に釜山は強制徴用労働者が日本などへ連れて行かれる前に最後に踏んだ祖国の地だ。釜山に労働者像を建てるのは特別な意味がある。労働者像で国民が思いを一つにし、記憶し、行動するきっかけを作ろうというのが労働者像の建設の本質的な目標だ」と話した。

 「なぜ日本総領事館の前なのか。 日帝強占期の最大の被害者は女性です。もう一人の被害者は労働者です。日本政府は戦争犯罪について謝罪はおろか、認めようともしません。そのような日本を峻烈に批判するためには、女性と労働者が先頭に立たなければなりません。女性を象徴する少女像はすでにそこにあります。労働者像がその横に並んで建つのが当たり前ではないでしょうか」

彫刻家のキム・ソギョン氏が作った労働者像=建立特委提供//ハンギョレ新聞社

 労働者像の建立のための市民募金には220の団体と約6500人の市民が力を合わせ、目標値8000万ウォン(約780万円)を超える1億ウォン(約970万円)が集まったという。労働者像は、日本に連れて行かれ、坑道で作業を終えて出てきた朝鮮人労働者の姿を形象化した。少女像を作った彫刻家キム・ソギョン氏の作品だ。

 しかし、外交部などは昨年4月、「外交問題になる可能性が高い」として、日本総領事館前の労働者像の建立に反対した。その代わり、南区(ナムグ)の国立日帝強制動員歴史館に設置することを提案した。「政府の積極的な反対意思に戸惑いました」。このような反対にもかかわらず、建立特委は昨年5月1日、日本総領事館前の労働者像の建設を試みた。立ちはだかった警察と衝突までしたが、力不足だった。労働者像は結局、警察が確保した。その後も、1カ月間にわたり、建立を推進する市民と警察は労働者像をめぐって対峙した。警察が5月31日に労働者像を強制撤去した際、市民たちは「日本の公務員なのか」と激しく抗議した。

 キム委員長は「朴槿恵(パク・クネ)政権も釜山少女像の建立を阻止できなかったのに、ろうそく(集会)によって誕生した文在寅(ムン・ジェイン)政権が結局、労働者像の建設を阻止した。ショックだった」と語った。労働者像は日帝強制動員歴史館1階のロビーに臨時保管されてから、今年7月に建立特委に返還された。強制撤去の過程で破損した労働者像は現在、修理を終えた状態だ。しかし、建立特委には強制徴用労働者遺族らの感謝メッセージが寄せられている。この日も事務室に強制徴用で被害を受けた在日同胞が訪れ、キム委員長に感謝の意を伝えた。

 「全国各地の強制徴用労働者の遺族から多くの感謝のメッセージが届きました。在日同胞の方々も一緒に力を合わせると励ましてくれました。その度に胸が熱くなります。釜山市民たちと力を合わせて、再び日本総領事館の前に労働者像を建てるつもりです。政府はこうした民心をきちんと把握して受けとめてほしいです」

キム・ヨンドン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/876772.html韓国語原文入力:2019-01-02 19:40
訳H.J

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