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特使団の訪朝裏話…1時間で6項目に“スムーズ合意”

登録:2018-03-09 06:06 修正:2018-03-09 09:15
チョン・ウィヨン団長など高坊山招待到着直後 
金英哲副委員長から「今日会うようになります」朗報 
 
金正恩委員長、朝鮮労働党本部玄関まで出迎え 
「親書」伝える際、立ち上がり歩いて来て受け取った 
 
北朝鮮特使団の訪韓の際、平壌冷麺・温飯に興味示したことを受け 
初日の晩餐には温麺、翌日の昼食会には冷麺でもてなす 
「平壌では必ずお代わり」との言葉に特使弾もお代わり 
 
宿舎では自由に韓国放送・インターネットも
対北朝鮮特別使節団の首席特使として北朝鮮を訪問したチョン・ウィヨン大統領府国家安保室長(前列左)が、今月5日、平壌で北朝鮮の金正恩労働党委員長と握手している。金委員長の左手に文在寅大統領の親書が見える。左端には金与正労働党中央委員会第1副部長=大統領府提供//ハンギョレ新聞社

 「今日(金委員長に)会われることになります」

 今月5日午後3時40分。チョン・ウィヨン大統領府国家安保室長などの対北朝鮮特別使節団は、宿舎の北朝鮮高坊山(コバンサン)招待所に到着した直後、金英哲(キム・ヨンチョル)統一戦線部長から朗報を聞いた。金統一戦線部長は特使団に対し、同日午後6時から金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長が特使団と面会し、晩餐を共にすると伝えた。金正日(キム・ジョンイル)総書記時代には最後まで会談日程を知らせず、訪朝特使団をやきもきさせた“慣例”を破った破格の動きだった。金統一戦線部長が面会日程を伝えるまでは、特使団でも「今日は金委員長に会えないかもしれない」と思う人が多かったという。大統領府関係者は「知らせを聞いた特使団の1人は『うまく行きそうな』印象を受けたと話した」と伝えた。

チョン・ウィヨン大統領府国家安保室長(左から2番目)など対北朝鮮特別使節団が北朝鮮を訪問した今月5日、平壌で北朝鮮の金正恩労働党委員長(左から3番目)と記念撮影を行っている=大統領府提供//ハンギョレ新聞社

 大統領府は今月5~6日に北朝鮮を訪問して帰ってきた対北朝鮮特使団の「平壌訪問裏話」を8日に公開した。特使団は1泊2日の間、警護や料理、宿舎などにおいて破格の待遇ときめ細かな歓待を受けたという。北側が提供したリムジンに乗って午後6時に朝鮮労働党本部に到着した特使団は、正門玄関に出ていた金委員長に出迎えを受けた。大統領府関係者は「特使団が車から降りるやいなや、数メートル先の玄関前に金委員長と実妹の金与正(キム・ヨジョン)労働党中央委副部長が立っていた」と話した。事実上、下車する際に金委員長に出迎えを受けたのだ。特使団は玄関ロビーで日の出の写真を背景に記念撮影を行った後、1時間以上にわたり金院長と面会した。金委員長は、チョン室長が文大統領の親書を伝えようと立ち上がった際、一緒に立ち上がり、歩いてきた後、立って親書を受け取った。大統領府関係者は「特使団が金委員長が(特使団を)配慮しているような印象を受けたと話した」と伝えた。

 金委員長は面会が始まった後、チョン室長が「強調したいのは、韓米合同軍事演習により南北関係が断絶されることがあってはならない」というメモを元に発言したことに対し、「皆さんの事情はよく知っている。理解する」とし、本格的に口を開いた。4月末の南北首脳会談の開催や首脳間ホットラインの開設など6項目は、約1時間の面会でいずれも合意された。大統領府関係者は「金委員長が(朝鮮半島の平和と非核化を盛り込んだ)ベルリン宣言など、文大統領が提案したメッセージについて詳しく把握していたようだ」としたうえで、「これまで積み重ねてきた文大統領の努力と、金委員長が長い間温めてきた構想が相まって、6項目の合意が出たと思う」と話した。彼は「文大統領が先月訪韓した金与正副部長と金英哲統一戦線部長に、非核化や核・ミサイル実験の猶予、軍事会談、文化交流などの6項目についてすべて話をしており、この報告を受けた金委員長がすでに返答を用意しておいた状態だった」と話した。ある特使は「金委員長は、特使団との面会に集まる全世界の視線と韓国国民が抱いている期待についてよく知っていた」と語ったという。また、他の特使は「北朝鮮としても容易ではなかったはずのいくかの難題を解決する過程で、金委員長のリーダーシップを確認することができた」と話したという。

金正恩委員長と対北朝鮮特使団の晩餐会の光景=大統領府提供//ハンギョレ新聞社

 円滑に進められた合意の後に開かれた晩餐会は和気あいあいとした雰囲気だったという。特使団は面会から10分後、すぐ隣のチンダルレ(つつじ)館の外で待っていた金委員長と夫人のリ・ソルジュ氏と挨拶を交わした。金委員長夫妻は5人の特使団の一人ひとりと握手しながら、会えてうれしいと声をかけた。

 金与正副部長は「北朝鮮の料理がお口に合いますか」と尋ねるなど、特使団を気遣ったという。晩餐の卓にはワインと高麗水蔘蔘露酒など、酒と温飯などが振る舞われたが、出席者たちは主に平壌焼酎を飲んだ。特使団は「華やかで手厚い歓待というよりは、きめ細かで真心のこもったもてなしを受けた」と話したという。北朝鮮側は先月の訪韓当時、南側関係者らが平壌冷麺と温飯について興味を示したことを受け、晩餐には温飯を、翌日の昼食会には玉流館で冷麺を出した。大統領府関係者は「6日の昼食会で、金英哲統一戦線部長に『平壌人民たちは冷麺を必ずお代わりする』と勧められ、ある特使は緑豆チヂミでお腹がいっぱだったにもかかわらず、冷麺をお代わりしたという」と伝えた。玉流館冷麺はキジで先に出汁を取った後、鶏で再び出汁を取る方法で、長く煮込んだ出汁を使う南側の平壌冷麺とは味が異なったという。

 北朝鮮は特使団に国賓級の警護を提供しながらも、「開かれた警護」を行った。特使団は高坊山招待所のあるフロアー全体を使ったが、北側の警護員らは両方の出入り口の近くにいただけで、内部には入らなかった。過去のようにマンツーマンで警護が付くこともこともなく、特使団は比較的に自由に招待所を散策できたという。宿舎では「KBS」(韓国放送)や「MBC」(文化放送)、「YTN」など、韓国の主な放送が視聴でき、ダウムやネイバーなど国内インターネットサイトにも接続できたと、大統領府は伝えた。

ソン・ヨンチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/835237.html?_fr=st1韓国語原文入力:2018-03-08 21:26
訳H.J

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