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遅れて現れる#MeToo、なぜ?「性暴力に沈黙する法」学校で学ぶ生徒たち

登録:2018-03-03 08:28 修正:2018-03-03 13:33
生活記録簿の評価など不利益が心配 
諦めたり自ら避けることを学び 
性暴力被害を表現する方法教えるべき
「包括的性教育権利保障のためのネットワーク」が27日、大統領府前で開いた「みんなのためのフェミニズム教育、今すぐ!」で、小中高校でのフェミニズム教育義務化を求める大統領府請願に対する立場表明・政策提案記者会見で参加者らが発言している=カン・チャングァン記者//ハンギョレ新聞社

 芸能・体育系の大学入試を準備している高校3年生のIさん(18)と友達は、この2年間、専攻分野に関するサークルの指導教師から継続的なセクハラを受けた。生徒たちは手でお尻を叩いたり、胸の横をつつく教師のわいせつ行為がひどく嫌だったが、「それでも先生だから」という思いから問題を提起できなかった。何より芸術・体育の入学選考に重要な生活記録簿の「細部能力、特記事項」に記載する内容は、サークルの指導教師の権限だった。我慢できなくなったIさんは30代の女性教師に助けを求めたが、「あなたの生活記録簿に不利益になることをわざわざ作るのか。卵で岩を割るようなものだから、静かにやり過ごしなさい」という応答を聞いたという。

 「ミートゥー(MeToo)」運動が社会各層に拡散する中で、女性たちは10代の頃に学校から性暴力に「沈黙する方法」を学ぶことになると指摘されている。10代の女性たちは「教師-学生」、「男性-女性」などの重畳的な序列の中で、被害事実を公論化することがいっそう困難になっている。性暴力被害事実を知らせたが、大人たちの“傍観”を経験した生徒たちは、現実を諦めたまま沈黙したり、加害者を自ら避ける“処世術”を体得することになる。キム・ソンエ全教組女性委員長は「露骨な性暴力はすぐに問題提起が可能だが、言葉のセクハラや軽い身体接触など“曖昧な”場合、同僚教師が介入しにくい」とし、「生徒たちが助けを求めがちな若い教師たちより加害教師の方が位が上である場合が多いため、問題を処理することが容易ではない」と話した。

 生徒たちは「親近感を表すもの」という先生の説明に混乱するケースも少なくない。大学生のOさん(19)は高校の3年間、40代の男性教師のセクハラ発言に悩まされた。Oさんは「授業中トイレに行く友達に『赤いやつか』と聞く発言に大半の子らはみなショックを受けたが、誰も『不愉快だ』と問題提起をしなかった」とし、「自分だけ敏感で不快感を感じたようで『先生は親近感の表わしであんなことを言ったのだ』と自ら思おうとした」と話した。価値観がまだ確立されていない生徒たちが、先生の性暴力行為に真っ向から挑戦するのは困難だという説明だ。

 「タックティーン明日」のイ・ヒョンスク常任代表は「言葉によるセクハラなどの性暴力被害を受けた生徒らは『日常的にありうる行動なのか』と悩み、後になって自分の経験が性暴力だという事実に気づく場合がある」とし、「特に両親と安定的な愛着関係が形成されなかった生徒たちの場合、(このような混乱に対して)もっと脆弱だ」と話した。

 このような理由で、生徒たちに性暴行とは何であり、自分が経験した被害をどう表現すべきか教える教育が必要だという声も上がっている。最近、大統領府の国民請願の掲示板に書き込まれた「小・中・高学校におけるフェミニズム教育の義務化」が代表的だ。大統領府は20万人以上の同意を得た「フェミニズム教育の義務化」請願に対して、「フェミニズム教育は、体系的な人権教育と統合的に行われなければならない」と先月27日、明らかにした。

 アハソウル市立青少年性文化センターのパク・ヒョニ部長は「教育部の『性教育標準案』は依然として性差別的な要素を含んでいる」とし、「序列の関係で発生する性暴力を充分に理解できる教育が必要だ」と指摘した。キム・ソンエ委員長も「現在は性暴力が発生した時には対応する手順を教えるだけで、自分が経験した被害をどう表現するか、具体的な方法を教えてはいない」とし、「クラスで性暴力に関する教育が行われるよう、制度的になサポートすることが重要だ」と主張した。

ソン・ダムン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/sports/sports_general/834431.html韓国語原文入力:2018-03-02 21:11
訳M.C

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