検察が「ダースの裏金」事件の中間捜査結果発表で、「実質的な所有者を示す主要資料を確保した」と明らかにしたことで、事件の頂点にいる李明博(イ・ミョンバク)元大統領を狙った後続捜査がいかなる形で続くかに関心が集まっている。平昌(ピョンチャン)五輪が終わる3月初めには李元大統領の召喚捜査が避けられないだけに、検察はそれまで容疑の立証を確実にする補強調査に総力を傾けるものと見られる。
■実質的な所有者明らかにする「スモーキングガン」は?
李元大統領の捜査と関連し、最も注目が集まっている部分は、李元大統領がダースの実質的な所有者という点を立証する決定的証拠とは何かということだ。ソウル東部地検に構成された「ダース横領など疑惑告発事件捜査チーム(チーム長ムン・チャンソク)」は同日、中間捜査結果で「ダースの経理職員が横領した120億ウォン(約12億円)のほかに、会社及び経営陣が作った裏金が確認された」と明らかにしながらも、実際の所有者の立証に関する部分は明確な回答を避けた。そして「現在、資金の流れを精密に追跡・分析しており、もし氏名不明の実質的な所有者が別にいた場合、(彼の)介入があったかどうかは捜査が進めば自然に究明されるものと期待している」と自信を示した。
検察はまた、内部ではダースの実所有者を明らかにする核心証拠を確保したという。捜査チームは同日、「先月11日、迎浦ビルなどの家宅捜索過程で、ビル管理人が車両に隠しておいたメモリなどのダースの実質的な所有者の立証と関連した証拠を多量に確保した」と明らかにした。ビル管理人は李元大統領の借名財産の管理者として知られるイ・ビョンモ清渓財団事務局長と推定されるが、イ事務局長は今月13日に緊急逮捕され、15日に拘束された。
検察の説明を総合すると、現在としては公開するにはまだ早いが、資金追跡と関連する証拠の確保を通じて実際の所有者が誰なのか立証する「スモーキングガン」(動かぬ証拠)を確保したという意味と分析される。ただし、処罰を前提にした捜査結果を発表するには、李元大統領の召喚調査が必ず必要だが、平昌五輪などの状況を考慮し当事者の調査を先送りせざるを得ず、捜査以降に(捜査結果の発表)時期を調整しているものと見られる。
このような理由から「ダース捜査チーム」の多くは「BBK投資金回収」事件などを担当したソウル中央地検の捜査チームに合流し、裏金の規模と使途などに対する捜査を続けていく予定だ。捜査チーム関係者は「ソウル中央地検捜査内容の合併が決まれば、かなりの成果を出せると見ている」と話した。
■ソウル中央地検捜査でも確実な証拠と成果
ソウル中央地検で進めている李元大統領に対する捜査もかなりのスピードで成果を出している。検察は、国家情報院から特殊活動費を受け取った容疑と関連してキム・ペクチュン元大統領府総務企画官などの関連人物らの供述を確保した状態だ。これをもとにキム元企画官を拘束起訴し、彼の起訴状に李元大統領を国情院特殊活動費の授受関連の「主犯」として明記した。
「BBK投資金回収」を捜査する過程で、サムスンのダース訴訟費代納の疑いを把握するなど、予想外の可視的成果も現われた。ダース訴訟費の代納を主導したイ・ハクス元サムスングループ副会長だけでなく、李元大統領とサムスンの「媒介役」だったキム元企画管も「李元大統領側の要請で、サムスンが訴訟費約400万ドルを代納した」という一致した供述を行った。検察はダース訴訟費の代納と関連しても、李元大統領に「第三者供賄罪」ではなく賄賂罪を適用する方針だ。