検察は最終的に「ダースは李明博(イ・ミョンバク)元大統領のもの」だという結論を下した。約50日間の捜査の末に、公開された株式所有構造とは異なり、ダースを所有・支配してきた“本当の主”は、李元大統領という事実を明らかにしたのだ。ダースの株式の半分に近い47.3%を所有した李元大統領の実兄のイ・サンウン氏や第二位の大株主(23.6%)である義弟の妻、クォン・ヨンミ氏は一種の委託管理人または名義信託者に過ぎなかったわけだ。
ダースの捜査チームのこのような成果は、単に「ダースは誰のものなのか」という質問への答え以上の意味を持つ。ダースが李元大統領の会社という結論は、ソウル中央地検先端犯罪捜査1部が進めているサムスン・現代自動車の「ダースの訴訟費用の代納=賄賂」という等式が成立する基盤になった。これらの企業から出た数百万ドルが米法務法人に渡ったとしても、この訴訟の原告であるダースと李元大統領の「特殊関係」が立証されないかぎり、難関に直面する可能性もあった。検察関係者は「ダースが李元大統領の所有という結論が出たからこそ、ダースの訴訟費用を代納したことが李元大統領に渡した賄賂になり得るという構造」だと説明した。
検察はダースの実質所有者だけでなく、まったく意外な裏金も明らかにした。李元大統領一家が従来の120億ウォン(約12億円)とは別に作った100億ウォン台の裏金が新たに見つかったのだ。これにより、所有関係を超えて犯罪容疑を見つけなければならなかった検察にとって、最も大きな課題が解決された。また、規模は小さいが、ダースの役員らが横領した裏金も明らかになった。全体的に、ダースから2003~2008年に200億ウォン(約20億円)を超える三つの裏金が作られたわけだ。過去、BBK特検で明らかになった約120億ウォンや、李元大統領の実兄のイ・サンウン氏など一家が別に作った数十億ウォンの裏金、K元代表など会社の幹部らが別に作った裏金などだ。ダースの元代表など役員らが検察に自首したり、自ら出頭して、実際の所有者と秘密資金の造成事実を素直に認める供述をしたのも、この別途の裏金資金を意識した結果と見られる。
李元大統領をはじめ、その一家が裏金作りを指示したり、関与した行為に対しては、特定経済犯罪加重処罰法の横領・背任と共に、コインの裏表の関係にある脱税(特定犯罪加重処罰法違反)容疑まで適用される可能性が高い。しかし、検察は最初は、特検の捜査過程で明らかになった約120億ウォンは経理職員のC氏個人の横領という結論を下したという。これによって、検察は裏金約120億ウォンを見つけたにもかかわらず、これを検察に正式に移管・移牒しなかった容疑(特定犯罪加重処罰法の特殊職務遺棄)で告発されたチョン・ホヨン元特別検察官(70)を起訴しない方向で方針を決めたという。チョン元特別検察官の公訴時効は21日に差し迫った状態だ。捜査の結果、C氏は李元大統領一家の裏金作りにも深く関与し、ダースで引き続き勤務できたことが明らかになった。
訳H.J