格差の核心は非教科活動
親の経済力・情報力により
「非教科スペック」の量と質が異なる
エリート校の支援も影響
「学校生活記録簿(学生簿)の非教科『スペック』を身につける過程で、自分に生まれつきの格差があることを思い知らされました」
今年、京畿道の一般高校を卒業し、ソウルのある私立大学に入学したユ・シヨル君(仮名、19)は、経済的に余裕のない一人親家庭で育った。科学高校を志望したが、受験に失敗して一般高校に進学した。今年の大学受験で、ソウル大学の随時募集の一般選考に兆戦したが、1次の書類評価で脱落した。
中学3年から通い始めた大学傘下の英才教育院で出会った同級生の多くは、科学高校、外国語高校、国際高校などの特殊目的高校に進学した。ほとんどが経済的に余裕のある家庭の生徒たちだった。「その子たちに頼み込んで、やっと様々な大会や活動に関する情報を聞き出せました。国際高校に通う同級生は、課題研究のためにアメリカの大学を訪ねたこともあったんです。3年の時は自己紹介書や学生簿など、学生簿総合選考のための書類を何百万ウォンもかけて用意してもらう人もいました」。ユ君は「韓国社会で『機会の平等』なんて空虚なスローガンに過ぎないと感じた」と話した。彼はある日、同級生にこんな現実に対する怒りをぶちまけた。「だけどその子に『資本主義社会でお金を使って大学に行くのが、そんなに悪いことなのか』と言われました」
学校側の支援も異なっていた。「道教育庁が主催する科学コンテストに出るとき、科学の先生を通し書類を送ることになっていました。私が少し遅れて書類を提出したら、先生が少し困った表情で『君のこと以外にも、私がやるべきことはこんなに多い』と言いながら、業務の一覧表を見せてくれました。一般高校では、大会に出たりすることが重視されません。その先生の問題ではなく、システムの問題だということに、その時気づきました」。生徒自ら様々な実験と研究をして論文まで書き、科学高校をベンチマーキングして「課題研究サークル」を直接作ったが、学校の予算が足りず、大企業の社会貢献事業に直接計画書を提出し、支援してもらったこともある。
ほとんどの主要大学の入試で“標準”となった学生簿総合選考には、サークルやボランティア、進路、読書活動のような非教科活動が主な要素とされる。当初は、学生一人ひとりの「夢と才能」を反映するという趣旨で始まったが、もはや生徒の社会経済的なバッググランドや出身高校が非教科活動を左右する要因になってしまった。私教育業界の新たな事業領域でもある。
「すべてお金で作られたスペックなのに大学が実情に疎すぎる」
サークルやボランティア、進路、読書活動など
非教科が内申書総合選考の重要な要素
社会経済的バッググラウンドや出身高校に左右される
特別目的高校の保護者の間でも“情報競争”
校内コンテストのために家庭教師をつける場合も
「非教科コーチング」、2時間に1万9千円
江南3区一般高校の「校内非教科活動」でも
専門家の保護者が課題研究を進める
一般高校ではなかなか対応できず
■情報が命...親たちの“場外競争”
ソウル江南区大峙(テチ)洞に住むK氏の子の女子生徒は、今年外国語高校を卒業して、ソウルの有名大学に合格した。K氏は娘が外国語高校に在学している際、ほかの保護者たちとチームを組んで、子供たちが通う塾の“カリキュラム”を作った。子供をソウル大学に合格させた先輩の母親がチーム長となり、自らが検証した教科や非教科の私教育情報を伝授した。K氏は「北朝鮮で金正恩(キムジョンウン)が命令すると、皆それに従うように、私たちも何もかもその母親の言う通りにした」と語った。
学生簿総合選考の導入で、入試制度が一層複雑になり、親の“情報力”は、ますます当落を左右する主な要因になっている。それに伴って保護者同士の“情報戦”も激しさを増している。
保護者のN氏(大峙洞)は、「特別目的高校に甥が通っている。母親たちがチームを組んでレッスンをはしごしているが、電話番号を他の人に教えたある母親が村八分に遭ったと聞いた」と話した。別の保護者T氏(大峙洞)は、「母親たちが昼間も忙しいのは受験のためだ。誰かが大学受験に成功したという話を聞くと、直接連絡して情報を得る。塾で提供された情報よりも、実質的に進学に成功した母親に会って直接話を聞くのが、一番正確だ」と語った。彼女は「だけど、子供たちが皆大学に進学して“受験を完了”した人ならまだしも、大学受験を控えている子供が残っている場合は、重要な情報は教えてくれない」と話した。
■非教科スペックも私教育
娘がソウルの外国語高校2年に在学中の保護者L氏は、今年の新学期から、子供が参加を希望する校内コンテストがあれば、家庭教師をつけることにした。中間テストや期末テストの準備のために、1カ月当たり平均200万ウォン(19万1500円)を使っているが、出費がかさむことになったのだ。「子供が一人で準備しては、入賞は不可能です。例えば、哲学コンテストなら、哲学関連の家庭教師をつけて準備をします」。L氏は「学校は学生簿も学生に書かせます。だから、私教育コンサルティングを受けて、(内申書を)作成し、(学校に)提出するのです。その内容がそのまま(NEIS、教育人的資源部が支援する教育行政情報システムなどに)載ります。すべてお金で作られたスペックなのに、大学は高校の実情をあまりにも疎すぎます」と語った。彼女は「そこまでお金を使って有名大学に入ったとしも、それは私の能力であって、子供の能力ではない」とため息をついた。保護者のK氏は「私の子供も3人でチームを組んで語学辞書を作成する校内活動を行ったが、塾に150万ウォン(14万4000円)程度払って手伝ってもらった」と言い、「非教科は教科よりも相場が高い」と付け加えた。
大峙洞にある「T入試戦略研究所」という塾は、高校1〜2年向けに「学生簿プログラム」を、3年向けには「コンサルティングプログラム」を運営している。学生簿プログラムは、非教科コーチング、読書コーチング、学習法コーチングの3つがあるが、例えば、非教科コーチングは120分に20万ウォンで、学生簿の構成と作成の際の留意事項、記述項目の評価要素と基準、進路に合わせた活動の整理と記載の練習、学校別の校内大会の調査、希望大学や学校の副教材」などで構成されている。大峙洞で10年間英語塾を運営しているある塾長は「最近の学園業界では(英語絶対評価などの影響で)英語塾は下火になり、数学塾と学生簿総合選考のコンサルティング塾に再編されている」と話した。彼は「学生簿コンサルティングは内申書の作成から校内コンテストの準備、小論文作成まですべてを取り上げている。小論文を指導し、完成するのに、1本当たり800万ウォン(76万6000円)という話も聞いたことがある」と話した。
■エリート高校だけが支援可能な高度なスペック
学校によって学生に提供できるプログラムの質や量も大きく異なる。特に富裕層が多い江南3区の特別目的高校や自立型私立高校は、一般高校では到底追い付けないようなプログラムを運営する。
江南区一般高校のO高校は、教授などの専門家と共に研究を行い、小論文を書く課題研究(R&E:Research and Education)プログラムを「校内非教科活動」として進めている。研究を指導してくれる専門家にはあまり困らない。在学生の保護者や卒業生を招けるからだ。O高は毎年の学期初めに「大学や政府機関及び企業で勤務する専門的な能力をお持ちの保護者」を募集する家庭通信文を送る。昨年は17人の専門家が指導教授として参加し、「ビッグデータ分析のケーススタディ」や「肺癌診断のための胸部CTによるメタボリックシンドロームの予測」などをテーマに、生徒たちと研究を行った。こうした活動は「校内活動」であるため、学生簿の「詳細能力・特記事項」に学生の学力を裏付けるための素材として活用できる。高校生の間では、学生簿に記載した場合、随時募集の「学生簿総合選考」で良い評価をもらえるものとして、課題研究が「高級スペック」の中の一つとされている。
しかし、学校の力だけでは指導教授を招けないほとんどの一般高校の場合は、全校生徒のうち競争を通過した1人か2人だけが市道教育庁で実施する大会に出て課題研究活動を行うことができる。それさえも「校外活動」とみなされ、学生簿に受賞歴ではなく、参加事実程度だけを記録される。今年ソウル大学の随時募集に合格したO高校出身のチョ・ヒョンジェ君(仮名、19)は「東大門区の中学校に通っていたが、両親が私の教育のために大峙洞に引っ越した」、「塾のような他の要素よりも、課題研究のようなプログラムに参加できたことが一番良かった」と話した。
韓国語原文入力:2016-03-20 20:53