待つことに疲れたセウォル号行方不明者家族のうち、一部が最後の手段として挙論した‘船体引き揚げ’が家族多数の同意獲得に失敗した。 セウォル号行方不明者家族対策委員会は27日‘捜索継続’と‘船体引き揚げ’を巡って無記名投票を行った結果、9家族のうち捜索継続が5票、船体引き揚げが4票と集計されたと明らかにした。 これで失踪者10人を待つ9家族の公式立場は‘捜索継続’に整理された。
引き揚げが初めて議論されたのは23日に行方不明者家族の代理人であるペ・ウイチョル弁護士が「状況が悪化して捜索が終了する」というマスコミ報道を説明する席であった。 ペ弁護士は「捜索は続いている」として「(捜索の)最後の手段として引き揚げについて家族が心の準備をしている」と話した。
これは7月18日から100日以上にわたり遺体を一体も収拾できずにいる状況に対する行方不明者家族のもどかしさと複雑な心境が反映された言及だった。 セウォル号事故6か月を契機に行った韓国ギャラップ世論調査で、回答者の80%が「もうセウォル号の船体を引き揚げた方が良い」という反応を示し、ある与党議員が国政監査で露骨に「一日の捜索に3億5000万ウォンがかかっている」と発言したことも、行方不明者家族が船体引き揚げを考えることに影響を及ぼしたと見られる。
特に冬が近づいて水温が下がり、風が激しくなるなど気象条件が悪化していることも大きな心配事であった。 船体の狭窄と崩壊などで水中捜索環境が悪化し、200日以上続いた長期捜索で疲労が累積した潜水士の境遇を考慮しないわけにはいかない状況であるためだ。
これに伴い、一部の行方不明者家族の間から「もう船体の引き揚げをして船内を隅々まで探すことが最後の手段」という主張が出てきた。 だが、多数はまだ4階左側船尾の大型船室(SP1)と中央廊下のトイレなど、きちんと捜索できていない区域があるのに、どうして捜索を中断できるかと反対した。 政府が船体を引き揚げる意志も技術もないのに、先に引き揚げをしてくれと言えば、捜索を放棄したと映りかねないという憂慮もした。
行方不明者家族はまた、11月の気象が事故初期の4月よりは悪くないという点も‘捜索継続’の理由に挙げている。 汎政府事故対策本部が事故海域の25年間の気象を分析した結果、11月は波高が1.5メートル以下の日が20日、平均水温は14.3度であることが分かり、まだ捜索可能だということだ。
弟(妹)と甥(姪)を待っているクォン・オボクさん(59)は「行方不明者家族の心残りがないように捜索を継続しなければならない。 だが、引き揚げに関する資料を受け取り、家族どうしで議論して政府と十分に対話する。 社会各界の声も傾聴する」と話した。