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マニュアル通りの軍過剰対応で西海交戦の危機

登録:2014-10-15 22:39 修正:2014-10-16 15:47
現場指揮官の判断により「射撃後に報告」
合同参謀議長も強硬対応を基調
不発弾により射撃中断を隠ぺいの疑い
艦砲94発を撃っても北側被害の確認できず
7日の北朝鮮の警備艇NLL侵犯交戦状況 //ハンギョレ新聞社

 15日、南北軍事会談が44か月ぶりに電撃的に開かれた直接的背景は、10月7日に延坪島(ヨンピョンド)近隣の北方境界線(NLL)で南北間で艦砲を撃ち合った事件だった。 当初、北朝鮮は韓国海軍の過剰対応に抗議するため、異例の電話通知文を送り軍事会談を提案したものと見られる。 しかし、実際この事件は戦闘の拡大も辞さないような韓国軍当局の過度な攻撃性ばかりでなく、作戦上の無能、そして隠蔽疑惑まで総体的な韓国軍当局の素顔を見せた事例であった。

 事件は7日、北朝鮮の警備艇1隻が午前9時50分頃、延坪島近隣の北方境界線を0.5海里(900メートル)侵犯したことから始まった。 韓国海軍の誘導弾高速艦は北朝鮮警備艇の越境に対して直ちに警告通信を通じて北方境界線侵犯の事実を知らせた後、76ミリ艦砲で警告射撃5発を撃った。

 しかし、北朝鮮の警備艇が37ミリ艦砲と推定される火気で数十発の対応射撃を行ったため、韓国側の誘導弾高速艦は76ミリ艦砲と40ミリ艦砲で直ちに北朝鮮警備艇に対して照準・撃破射撃を行った。 チョン・ホソプ海軍作戦司令官は15日、海軍本部国家監査場で「撃破射撃とは必ず命中させるつもりで撃つこと」と話した。北朝鮮の艦艇に当てるつもりだったということだ。

 北方境界線を越えてきた北朝鮮艦艇に韓国海軍が照準・撃破射撃を試みたのは、最近例がないことだ。 韓国軍当局者は「2009年11月の大青(テチョン)海戦以来初めて」と話した。北朝鮮軍が本格的に反撃してくれば、再び西海交戦により戦闘が拡大されかねない瞬間だった。 これに対して、合同参謀関係者は「これまで北朝鮮は我々が警告射撃をすれば(正面対抗せずに)北に戻っていた。

 ところがこの日は北朝鮮が艦砲で異例の対応射撃をしてきたので、我々もマニュアルに則り対応射撃をした」と話した。 合同参謀は2002年西海交戦を契機に、警告放送→遮断機動→警告射撃→威嚇射撃→撃破射撃からなる5段階の例規を直し、「警告放送→警告射撃→対応射撃(威嚇射撃+撃破射撃)」の3段階に単純化した。 警告射撃の後に北朝鮮が反撃すれば、中間段階を経ずに直ちに撃破射撃などで対応することになっている手続きに従ったということだ。

 当時、撃破射撃は「先措置・後報告」の原則に従い現場指揮官の判断でなされたと言う。 チェ・ユンヒ合同参謀議長が事件の報告を受け、指揮統制室に到着した時には既に状況が終わった後であった。 また、南北間の軍事衝突や戦闘拡大の可能性などについて総合的判断と指針を下さなければならない大統領府は「軍がうまくやれ」と事実上放置した。 常に戦闘拡大の危険を抱えている西海海上の軍事対決に、あまりに無感覚・無責任に対応したのではないかという指摘が出ている。

 その上、当時北朝鮮の艦砲は海軍誘導弾高速艦に威嚇をしなかったという点でも、過剰対応論議を免れがたい。 当時、北朝鮮警備艇と海軍誘導弾高速艦との距離は8.8キロあった。 北朝鮮警備艇の37ミリ艦砲は最大射程距離が8キロなので、誘導弾高速艦には届かなかった。 実際、合同参謀関係者は「北朝鮮警備艇の砲弾が韓国側艦艇と北朝鮮艦艇の中間地点付近の海上に落ちた」と話した。 しかし、この関係者は「現場では敵の砲弾が落ちるのは“生きるか死ぬか”の緊迫した瞬間なので反撃するほかはない」と答えた。

 韓国軍はまた、艦砲94発を撃っておいて北朝鮮艦艇の被害さえ確認できなかった。 当時の砲撃には誘導弾高速艦だけでなく周辺にいた高速艇2隻も動員された。 しかし北朝鮮警備艇は海軍艦艇3隻の照準射撃を突き抜けて北に戻った。 合同参謀関係者は「北朝鮮警備艇が5~10分間で北方境界線に戻ったので被害の有無は確認できなかった」と話した。

 軍の隠蔽疑惑も提起された。 当初、7日の事件当時に合同参謀関係者は「照準射撃があったか」という記者たちの質問に「対応射撃は行ったが照準射撃はなかった」と説明した。 しかし、チェ・ユンヒ合同参謀議長は13日に国政監査場で議員の追及が相次ぐと「照準・撃破射撃をした」と遅れて告白した。 軍はまた、誘導弾高速艦が砲射撃を行ったが、不発弾のために砲が作動せず後方に退いたという事実も公開しなかったが、13日に国家監査場で議員の追及されると「そのような事実があった」と認めた。

 合同参謀は遅れて「当時、誘導弾高速艦の76ミリ艦砲は14発発射後、40ミリ艦砲は29発発射後に不発弾が出て、砲が作動しなかった」と説明した。 軍が作戦中に発生した失敗や誤りを隠そうとしたのではないかという疑惑が提起される内容だ。 合同参謀関係者はこれに対して「76ミリ艦砲は5分後に、40ミリ艦砲は10後に措置が完了した」として「誘導弾高速艦で不発弾が発生した以後は、近隣にいた高速艇2隻が射撃を続けたので対応に支障をきたしてはいない」と釈明した。

パク・ビョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/659970.html 韓国語原文入力:2014/10/15 21:25
訳J.S(2362字)

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