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「娘が“助けて！”と叫んでいる」
休職届を出してハンスト開始
政府と国会が無視する中で
彼は倒れて病院に運ばれた

「セウォル号法の制定が見られなければ
ユミンに会わせる顔がありません
生きていても生きているとは言えません」

　セウォル号特別法の制定を要求し40日間食を絶っていた“ユミンの父さん”キム・ヨンオ氏(47)が22日午前、病院に緊急移送された。彼は病院に到着した後も、食事を拒否し断食を続けている。

キム氏は“その日”までは平凡な労働者だった。全羅北道(チョルラプクト)井邑（チョンウプ)出身で、忠清南道(チュンチョンナムド)牙山（アサン)の自動車部品製造工場で非正規労働者として働いていた彼のことを、ある同僚は「本当に一生懸命働いていた。なぜそんなに懸命に働くのかと訊くと、『娘を大学に行かせるためだ』と答えた」と話す。キム氏は昨年7月、会社から正規職転換の通報も受けた。別の同僚は「口数が少なく、人前に出て何かをしようとはしないが、一徹なところもある人」と語る。

しかし、あっけない長女の死が彼の人生を根こそぎ変えてしまった。長女のキム・ユミンさん(17)は事故から10日目の4月25日、冷たい遺体となって戻ってきた。生きる上での大きな支えだった娘を自らの胸に抱えた彼は「何もしないでじっとしていたら、酒ばかり飲んで廃人になってしまいそうだ。仕事でもしたら娘を忘れられるかも知れない」と言って、5月7日に会社に戻り約20日間働いた。だが、結局彼は休職届を出すことになる。キム氏は周りの同僚に「娘のことが思い浮かび悪夢まで見る。このままでは耐えられない。娘が死んだ理由を知らなければならない」と言っていた。「仕事をしていても、子どもが『助けて！』と叫ぶ声が聞こえるようだった。頭の中は娘のことで一杯だった」(民主労総金属労組機関誌とのインタビューから)。

　7月14日から、キム氏は他の犠牲者家族14人とともに“無期限ハンスト”を開始した。しかし、生業に追われる他の遺族たちが一人、二人とハンストを中断するなかで、この5日からは彼1人だけが残った。（訳注：遺族たち15人が無期限ハンストを決めたとき、遺族たちの健康の世話をしてきた「人道主義実践医師協議会」の医師が健康チェックをしたところ、惨事発生以来の苦しみの中で殆どの人がまるで既に何日もハンストを続けてきた人の身体のように衰弱していたので、ハンストはしないようにと医師として極力説得したけれども、遺族たちは聞き入れなかったという。ハンストが続く中で次々倒れては病院に搬送される事態が続き、最後にキム・ヨンオ氏が残った）

　国会の特別法を巡る論議が空転する間に、キム氏が断食をしていた光化門(クァンファムン)のテントは、セウォル号事件を証言する一つの“象徴”となった。国会議員、映画人、歌手、大学教授、平凡な市民たちの自発的な“同調ハンスト”が続いた。韓国を訪問したローマ教皇が今月16日、光化門での列福式に先立ってキム氏の手を取って慰めた時、彼は「政府と与党が遺族たちの切実な要求に背を向けているので、断食を始めた」という内容の手紙を教皇に手渡した。檀園高校の犠牲者の父親の一人K氏は「素朴でおとなしい父親だった。私たちもこんなに長く(断食を)されるとは思わなかった。活動する中で政府に強く失望されたようだ」と話した。

　キム氏はハンストを続けている間、何度も光化門広場から大統領府まで歩いて行き、朴槿恵(パク・クネ)大統領に面談を要請したが、その度に断られた。断食38日目の20日にも大統領府まで行こうとしたが、警察に阻まれて引き返さざるをえなかった。

　キム氏は21日、自分のフェイスブックに「昨日テントを訪ねてきた（新政治民主連合の）パク・ヨンソン議員の話を聞いていて激しく怒ってしまった。午後には、大統領府前で衝突があった。デモをしに来たんじゃなくて申請書を出しに来たんだ、といくら言っても通してくれなかった。手に力が入らない。眠っていても途中で目が覚めるが、体が重い。今日は何もできそうにない。頭がすごく痛くて、日記もこれ以上書けない」と記した。その後、気力を失いテントの中で横になっていたが、この日朝早く市立東部病院に運ばれた。

　ユ・ギョングン家族対策委員会スポークスマンは「病院で昼食に重湯200ccとみそ汁、麦茶などを提供したが、キム氏は摂取を拒否した。ユミンのお父さんは『特別法制定を見ないまま、ここで断食を止めたら、ユミンに会わせる顔がないし、生きていても生きていると言えない』と言った」と伝えた。

イ・ジェウク、キム・イルウ記者 uk@hani.co.kr、絵：パク・チェドン画伯