ウォン・セフン前国家情報院長の至上命令は‘従北左派清算’だった。 彼はこのような方針により国家情報院組織自体を滅茶苦茶にし国内政治介入に集中した。 このために北韓情報を担当する3次長傘下の心理戦団が国内政治に介入するコメントを書くなどインターネット活動を行ったのだ。
当初、心理戦部署の業務は対北韓ビラを収集して資料を整理することだった。 国家情報院捜査局では脱北者を尋問しスパイである可能性の有無を把握することで、特に心理戦部署を通じてわが軍がばら撒いた対北韓ビラを確認してこの内容が脱北者の陳述と一致するかを確認する業務を遂行してきた。 正常な北韓情報業務だ。 だが、ウォン前院長はこれらのメンバーを国内政治介入に投じたわけだ。
国内情報を担当する2次長傘下部署では競争的に国内政治介入が進行された。 2次長の傘下には国内情報を分析し情報報告書を作成する国益戦略室と国内情報を収集する国益情報局があった。 ‘パク・ウォンスン ソウル市長制圧’、‘半額授業料影響力遮断’などの政治介入文書を作ったところがシン・某室長が率いる国益戦略室だった。 だが、国益情報局を率いたパク・某局長は国家情報院入院同期であるシン室長と競争するかのように各種政治介入文書を作りウォン前院長に随時報告していたという。 情報収集を目的に作られた国益情報局でこのような活動をするのは、職務や権限外のことだった。 それでもウォン前院長はそれを制止しなかった。 パク局長は警察が国家情報院事件に関する中間捜査結果を発表した昨年12月16日、キム・ヨンパン当時ソウル地方警察庁長官に電話をかけ‘はやく捜査結果を発表しなさい’という趣旨の圧力を加えもした。
ウォン前院長は国家情報院内部の取り締まりにも格別な努力を傾けた。 彼は‘国家情報院職員の従北左派に対する認識が弛緩している’として、長くて1泊2日、短くは1日日程で全職員が‘憲法守護課程’を修了させた。 保守指向の宗教家や教授を主な講演者として呼び、韓国現代史と民主化過程などを歪曲する内容の教育をした。 職員には分科別討論をさせ、従北左派を批判する内容を発表させた。 偏向的な内容の精神教育を通じて国家情報院職員に保守的理念を植え付けようとしたのだ。
ある国家情報院関係者は「ウォン前院長時期、国家情報院は‘情報’ではなく‘理念’で武装し始めた。 各種情報戦での失敗はすでに予定されたことだった」と話した。
チョン・ファンボン記者 bonge@hani.co.kr