5日(現地時間)午後、イタリア北東部エミリア・ロマーニャ州サン・ラッゾロ・ディ・サベナ市。 人口3万人の小さな都市であるここをヨーロッパ歴訪中のパク・ウォンスン ソウル市長などと共に訪ねたのは、協同組合方式で運営される子供の家ラチコニャ(La Cicogna)を取材するためだった。
黄色い外壁のラチコニャの平屋建物の屋根にある太陽光集熱板が先に目に入った。 ラチコニャは太陽光モジュール設置で年間1万9000Kwhの電力を生産し、子供の家の消費電力の60%を充当している。 地熱システムも導入して建物の冷房と暖房に使っている。
部屋の中をオレンジ色と緑色で塗りわけ、建物内には自然採光方式で日光が多く入り明るくてこぢんまりした感じがした。 年齢帯別に4ヶの区域に分けられた広い空間では子供たちが元気一杯で走りまわっていた。
ここには子供たち1人1人の写真が貼られたロッカーと郵便受けがある。 教師たちはほとんど毎日、子供たちが一日何を食べて、どのように遊んだかを写真を撮って文を添えて両親に送っている。
給食労働者組合‘カムストゥ’
建築労働者組合‘チペア’
保育サービス組合‘カディアイ’
多様な利害関係者をまとめ
組合基本法に概念明示も
ラチコニャはイタリアの保育サービス協同組合であるカディアイ(CADIAI)等がボローニャ市と民官パートナーシップを結んで推進する‘カラバク’(KARABAK)プロジェクトで作られた。カラバク プロジェクトにより現在ラチコニャなど11の子供の家が運営されており、今後も増やす予定だ。 カラバク プロジェクトはカディアイだけでなく、給食労働者協同組合カムストゥ、建築労働者協同組合チペアなど4組合がコンソーシアムを構成して保育施設を設立・運営する事業だ。
チペア所属の建築労働者が保育施設工事を引き受け、カムストゥ所属の給食労働者とカディアイ所属の幼稚園教師は安定的な働き口を得た。 個人では実現できない目的を達成するために多数が力を合わせて協同組合を作るように、個別協同組合には難しいことを成し遂げるために協同組合どうしが協同して子供の家を作ったのだ。
ほとんどの協同組合は農民や消費者、労働者など特定階層と職能別に組織されており、各集団構成員の共通利益のために仕事をする。 これに対し、カラバクプロジェクトは多様な利害関係者を組合員として参加させており注目に値する。 カディアイ関係者は「カラバクプロジェクトは協同組合を通じて保育という社会的目的の実現と働き口提供、地域社会貢献活動などが可能ということを示した」と話した。チョン・ウォンガク アイクープ協同組合研究所事務局長は「カラバク プロジェクトは(多重)利害関係者の協同組合モデルだ。 利害関係者協同組合の概念は(韓国で)12月に施行される協同組合基本法にも入っている」と語った。
組合員には良い働き口を与え
需要者には質の高いサービスを
"韓国社会スキ間事業発掘
青年失業など解消のための良いモデル"
ラチコニャの1~2才クラス教師であるキアラ(40・女)は「子供たちを世話したり教えることが好き。 ここで仕事をするのが楽しい」と話した。 カディアイの組合員である子供の家の教師たちは妊娠すれば勤務時間を柔軟に調節でき、5ヶ月間の出産休暇期間に平常時給与の100%を受け取る。 他の保育施設教師の場合、出産休暇給与は80%だ。 労働者協同組合らしく組合員の仕事と暮らしの均衡を重視しているという説明だ。
カラバク プロジェクトは組合員に良い働き口を提供することにとどまらず、需要者には質の高い公共サービスを提供するなど二羽のウサギを捕まえることに努めている。 ラチコニャには0~3才の幼児83人が通い、教師は計16人なので教師1人に子供5人の割合だ。 他の保育施設では教師1人が7人ほどの子供を世話している。 ラチコニャの教師の内1人は保育負担から外れ教育プログラムだけを専門担当して切り盛りしている。 ラチコニャの教育課程を総括するチュチカ ビーチは 「子供たちはここで遊ぶ。子供たちが学習の喜びを習うのはここから始まる。 学習は他人との関係から作られる」と教育の方向を説明した。
パク・ウォンスン市長はラチコニャを見て回った後「私たちの社会に放置されているスキ間サービス、ビジネス領域を発掘して、失業者、引退した年配者、青年などの働き口を作り出すのに協同組合形態が役立つ」と語った。
サン・ラッゾロ・ディ・サベナ市(イタリア)/文・写真クォン・ヒョクチョル記者 nura@hani.co.kr