原文入力:2012/08/09 22:19(2723字)
←簡易宿泊所をホステルに変え観光客を誘致している社会的企業コトラボの「横浜ホステル ヴィレッジ」 コトラボ提供
日雇い労働者のドヤ街“寿(ことぶき)町”のコミュニティビジネス
日本第2の港町横浜都心から歩いて10分の距離にあるスラム街“寿町”。 横浜の代表的な都市貧民地域であるここが変貌している。 非営利団体(NPO)、社会的企業、大学などが共に手を握って成し遂げた結果だ。 寿町はもともと第2次大戦後、港湾労働に従事する日雇い労働者が集まって住んだドヤ街(安宿)として繁盛した。 横200メートル、縦300メートルの面積の中に120の職業紹介所と8500個余りの簡易宿泊所があった。 ゴミが散乱していて警察さえ巡回査察をしたがらない、それこそ“汚くて危険な”所だった。
寿町の変化が始まったのは2005年前後のことだ。 通りはきれいになり、海外の観光客はもちろん日本人旅行客も訪ねてくる所となった。 地域問題に関心のある大学生も出入りしている。 特に、世の中に背を向けて一日一日を無気力に過ごしていた住民たちの態度が変わり始めたのは驚くべき経験だ。 互いに挨拶を交わしたり憩いの場に集まって花壇もつくる。 生まれてこの方一度もやったことのなかった投票に参加する人も少しずつ増えている。
このような変化を引き起こした主な動力は民間協力だった。 非営利団体である≪さなぎ達≫は2000年から地域住民の生活を直接的に助けてきた。 地域の社会福祉士たちが作った≪さなぎ達≫は行政機関の支援の手が届かない所を探し始めた。 家族と社会から隔絶されてしまった住民が集まって話を交わすことができる憩いの場≪さなぎの家≫も設けた。 「3坪余りの小さくて古びた空間だが、家族もおらず一日中話をする相手もいない高齢者にとっては外部と疎通する唯一の通路だ。」≪さなぎの家≫を運営しているある活動家の話だ。 それだけでなく、働く意欲がある人々にはホームレスの自活を助ける雑誌<ビッグイシュー>の日本語版を売るようにさせた。 健康に異常があるとみられる人々は行政機関に連結するなど、地域住民の生活を改善するための多様な努力も怠らなかった。
←横浜の非営利団体≪さなぎ達≫が都市貧民地域である寿町に設けたホームレスの憩いの場≪さなぎの家≫
←さなぎ食堂
昔は「汚くて危険なところ」
200m×300mの中に8500個のドヤ
ゴミが散乱し警察も巡回を避けたがる
2005年頃 変化の兆し
花壇育てて通りは綺麗に
外国人はもちろん日本人も好んで訪ね
何があったのか・・・
非営利団体・社会的企業・大学が手を握り
憩いの場を設け食堂を開き・・・
ドヤをホステルに変えて観光客誘致
≪さなぎ達≫は憩いの場だけでなく食堂も運営している。 肉類冷凍倉庫を食堂に改築して2002年に開店した。 初めは生活保護対象資格になれない人々を対象にした。 彼らには政府から出る一日750円(1万ウォン程)のクーポンを3枚に分けて、三食温かい食事ができるようにした。 もうクーポン制はなくなったが、≪さなぎ達≫は住民に健康な食事を安く提供し働く機会も与えるために、食堂の運営を続けている。 近隣のコンビニが5年前からフードバンクとして毎日残った食べ物を≪さなぎの食堂≫に提供してくれ、増大する運営費負担の軽減に少なからぬ助けになっている。
社会的企業コトラボも街の変化に一役買っている。 コトラボは地域の不動産会社や建物主らと協議して空いている簡易宿泊所を安い宿泊施設に改造して地域イメージを変えた。 コトラボを設立した岡部友彦 (35)代表は2004年東大大学院で建築学を勉強していた時、周囲の推薦でさなぎ達を知るようになった。「建築空間の中で起きる人間の行動に関心を持っていたので、ある地域に拠点を置いてその地域の変化のために色々なプロジェクトを長期にかけて実施してみたかった」と岡部代表は寿町で活動することになった背景を説明した。
岡部代表はちょうどその時、地域の簡易宿泊所のうち2000個以上が空いているという話を聞いてホステル プロジェクトを思い出した。 「2002年ワールドカップの時、東京のドヤ街である山谷で空いているドヤをホステルに改造して観光客を誘致したように、2005年の横浜の代表的美術祝祭である横浜トリエンナーレに合わせてホステルを開くことにした。」プロジェクトは期待以上の成果を上げた。 部屋10個を試験的に運営したホステルの建物が4ヶ所に増えた。 ホステル プロジェクトは地域イメージを変えようという趣旨に共感した周辺の不動産会社と建物主の協力で可能になった。 不動産会社は空室を賃貸する代わりに観光客が出す利用料をコトラボと分けた。 働き口を探していた住民はホステルで働く機会を得た。 元気付けられた岡部代表はまた別のプロジェクトも行なった。 彼は「企業の社会貢献活動を結びつけて横浜地域に自転車貸与インフラを作る事業を進めている」として「この事業を通じて寿町で働く意欲のある人に働き口を提供できるだろう」と期待感を表わした。
大学生が寿町の変化に直接参加している点も目につく。 岡部代表は大学生が寿町にきて活動することができるように地域に拠点を設ける「かどべや」プロジェクトを進めた。 慶応大および立教大と共に1年課程で、地域の問題を見つけて地域住民と直に会って話を交わし、解決方案を探して発表する授業を進める。横山千晶 慶応大教授はプロジェクトの成果について「参加した大学生は地域問題にさらに関心を持つようになったし、地域は若者たちが出入りして活気を取り戻した」と肯定的に評価した。
このように寿町の民間協力の中心軸にはコトラボの岡部代表がいる。 さなぎ達の理事も務めている彼は、大学の特講に出かけて大学と地域の協力も積極的に引き出している。 岡部代表はそれぞれ違う分野の機関と共にする理由について「一緒に意見を出すことのできるネットワークが大きくなるほど、行政機関や他の機関の協力を引き出す上で、はるかに説得力が大きくなる」として「変化を引き出すためには協力の力が重要だ」と強調した。
横浜/イ・ヒョンスク ハンギョレ経済研究所副所長 hslee@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/546460.html 訳A.K