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五里霧中の朝米首脳会談…打開策を見出すためには【寄稿】

登録:2026-10-26 08:21 修正:2026-10-26 09:55
ムン・ジョンイン|延世大学政治外交学科名誉教授
2019年2月28日、ベトナムのハノイで開かれた第2回朝米首脳会談の2日目の会議で、トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩国務委員長が深刻な表情を浮かべている。この日の交渉が決裂し、北朝鮮の核問題は悪化の一途をたどった/聯合ニュース

 中国・深センで開催されるアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議まで1カ月を切った。他の議題もあるが、韓国にとって最大の関心事は、何と言っても朝米首脳会談の開催の可否である。トランプ米大統領は、自身からの対話の提案に対し、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が応じるだろうという自信を示した。韓国の情報当局でも(会談が実現する可能性を)50対50とみており、先週中国で会った現地の専門家たちは50%以上の確率で朝米首脳会談が開かれる可能性があると予測していた。ところが、トランプ大統領が19日、朝米首脳会談の可能性に関する記者の質問に対し「私も分からない」と答えたことで、期待感は大きく下がっており、現時点では開催の可否は五里霧中だ。

 実際、金委員長にとってはトランプ大統領との再会が様々な面で魅力的かもしれない。トランプ大統領との個人的な絆を深めると同時に、金委員長と北朝鮮の国際的地位を大幅に強化する契機となり得るからだ。国際社会において影響力のある正常な国家を目指す北朝鮮としては、金委員長が米国、中国、ロシアという世界列強の指導者たちと肩を並べることだけでも国家的な誇りになるだろう。さらに朝米関係の緊密化を通じて韓国と日本を相対的に排除する戦略的機会を模索することもできる。指導者と国家の評判の向上、そして戦略的計算という側面から、朝米首脳会談は十分価値があるものだ。

 しかし、金委員長率いる北朝鮮は、名目と同様に実利を重視する。いまだに「ハノイ・トラウマ」から抜け出せていない北朝鮮は、外交的なショーを超えた実質的な結果を望んでいる。北朝鮮外務省の立場からすれば、なおさらのことだ。2019年のハノイ朝米首脳会談を振り返ってみよう。2019年2月28日深夜、リ・ヨンホ外務相は緊急記者会見を招集し、会談決裂の理由を詳細に説明した。北朝鮮が寧辺の核生産施設を恒久的かつ完全に廃棄し、同時に核実験と長距離ミサイル(ICBM)の試験発射を恒久的に中断することを条件に、2016~2017年の間に国連安全保障理事会が採択した11件の決議のうち、生活と密接に関連する5項目(鉄鉱石、石炭、 水産物、繊維類の輸出、原油および精製油の輸入制限、対北朝鮮投資および合弁事業)について制裁緩和を要求したが、米国が「寧辺の核施設」以外の追加措置を迫り、拒否せざるを得なかったという内容だった。結局、会談決裂の責任を問われ、リ・ヨンホ外務相は解任され、粛清されたという。

 したがって、成功が保証されなければ、北朝鮮が対話や交渉に乗り出す可能性は極めて低いと思われる。これを踏まえると、李在明(イ・ジェミョン)大統領が9月の国連総会演説で提示した2つの提案が代案となり得る。一つは、北朝鮮が先に非核化すべきという要求を貫くよりも、核・ミサイル能力の中断から始め、縮小、そして最終的な廃棄へと進むという段階的なアプローチ。もう一つは、さらなる核兵器や長距離ミサイル技術の開発中止の見返りとして、対北朝鮮制裁の一部解除を掲げ、条件のない対話に入るというもの。これは北朝鮮のハノイ提案と類似した現実的な代案となり得るが、米国にとっては受け入れ難いものだろう。

 北朝鮮が「寧辺プラスアルファ」(降仙や亀城の高濃縮ウラン施設の稼働停止)を提示し、米国が北朝鮮との敵対政策の終結と関係正常化、韓米合同軍事演習および訓練の中止、金融制裁などの米国による独自制裁の解除、原子力の平和的利用の保障、そして対北朝鮮海外投資の活性化といった破格的な提案で応じると仮定してみよう。このような条件であれば、北朝鮮も朝米対話に前向きになれるだろう。

 手続き上の問題も解消されなければならない。金委員長との対話を推進するには、特使を任命して裏での接触を活性化すると同時に、タスクフォース(TF)チームを構成し、具体的なインセンティブを盛り込んだ正確なシグナルを送るべきだった。そうした措置なしに、トランプ大統領の(金委員長との関係誇示など)思いつきのような発言ばかりが並んだため、北朝鮮はその真意を疑わざるを得ない。

 最後に、韓国と米国では依然として、「完全かつ検証可能で不可逆的な核廃棄」(CVID)を対話と交渉の入り口に据えるべきだという主張が主流を成している。さらに、多くの人が、制裁緩和を交渉の切り札として用いてはならず、制裁と強圧があってこそ北朝鮮との交渉で有利な立場を占めることができると信じている。彼らは韓米合同軍事演習や訓練も交渉の材料にはなり得ないという。こうした議論が大方の見解なら、金委員長が対話に応じる理由はない。仮に合意に至ったとしても、国内政治的な理由から合意の履行が困難になる可能性があるためだ。非核化のパラダイムの全面的な転換が必要なのもそのためだ。

 主導権は明らかに北朝鮮にある。だが、(対話という)選択に確信を持たせるためには、名目と同様に、北朝鮮が拒否できない実利というカードを果敢に提示する必要がある。まだ時間は残っている。事態を好転させる突破口が開かれることを期待したい。

//ハンギョレ新聞社
ムン・ジョンイン |延世大学政治外交学科名誉教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1284072.html韓国語原文入力:2026-10-25 18:46
訳H.J

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