スティール駐韓米国大使は15日、韓国による対米投資の約束の履行と非関税障壁の撤廃を強く求めた。特にスティール大使は、韓国内の米国企業に対する「公正な待遇」を要求したが、これは韓国政府によるクーパンへの制裁措置を念頭に置いた発言とみられる。これに加え、米情報当局が、6カ月以上にわたって続いている北朝鮮関連情報の共有制限を解除するには、クーパン問題をはじめとする経済懸案がまず解決される必要があるとする立場を韓国政府に伝えたという報道まで出ている。クーパンの大規模な個人情報流出事件に対する韓国政府の調査と課徴金の賦課に、米国が度を越して介入しているという印象は拭い去れない。
スティール大使はこの日、ソウルで開かれた韓米財界会議で、「韓米関係において、一度交わした約束は必ず守らなければならない」とし、「今回の(対米投資)合意を履行していくことを期待する」と述べた。続いて、韓米首脳が昨年合意したジョイント・ファクトシート(共同説明資料)の内容について、さらに進展を図るべきだとしたうえで、「これには、米国企業の韓国市場へのアクセスと、韓国内の米国企業に対する公正な待遇が含まれる」と述べた。当時のファクトシートには、「デジタルサービス関連の法律や政策(ネットワーク使用料、オンラインプラットフォーム規制など)において、米国企業が差別を受けないようにする」という条項が含まれている。米国はこれまで、クーパンに対する調査や制裁は米国企業への差別だと主張してきた。スティール大使の発言は、韓国政府がクーパンを差別しているのだからこれを是正せよという間接的な圧力に他ならない。
さらに深刻なのは、クーパン問題が外交・安全保障上の懸案とも結びつけられている可能性が高いという点だ。ハンギョレの16日付報道によると、与党・政府上層部の関係者は、米情報当局が北朝鮮の核に関する情報共有制限の解除をめぐり、「情報当局間の信頼回復はもちろん、クーパンを含む経済問題が解決されなければ、事態は解決しない。(クーパン問題が)エスカレートしているため、その問題が解決されていないのだ」とする立場を伝えてきたと述べた。北朝鮮の核・ミサイル技術が日増しに高度化するなか、一企業の制裁問題を国家の存亡にかかわる安全保障問題と結びつけることは、到底納得しがたい。
スティール大使が述べた「公正な待遇」の実態についても検証する必要がある。大規模な個人情報流出に厳正に対応するという韓国政府の方針は、クーパンだけでなく、SKテレコムなどの韓国企業にも同様に適用されている。韓国企業には甘く対応し、米国企業だけを厳しく扱うのであれば、差別だという指摘も妥当だろうが、実情はそうではない。むしろ韓国企業は政府の調査に協力し、国民への謝罪や補償、再発防止策を積極的に打ち出し、問題解決を図っているのに対し、クーパンは調査を妨害するなど、傍若無人な態度を示した。米国は現在、クーパンに対する「特別待遇」を要求しているのだ。「郷に入りては郷に従え」と言われるように、韓国で事業を行うのであれば、韓国の法律に従うのが当然であり、これはどの国にも適用される普遍的な基準だ。
トランプ政権発足以降、米国は韓国に対し、受け入れがたい要求を繰り返し行っている。昨年、韓国に圧力をかけて3500億ドル(約55兆円)の対米投資合意を引き出したのに続き、最近では、まだ合意さえなされていないアラスカの液化天然ガス(LNG)開発事業を既成事実化しようと圧力をかけている。はたして米国に、韓国に対して「公正な待遇」を語る資格があるのか、自ら問い直してほしい。