先月末、中国四川省広漢市にある三星堆博物館を訪れた。三星堆は約3000~4500年前、四川盆地で栄えた古代蜀文明を代表する遺跡だ。1980年代の大規模な祭祀坑の発掘を通じて、世界に広く知られることになった。約4メートルの巨大な青銅神樹や輝く黄金の仮面、誇張された大きな目を持つ青銅の人物像など、まったく別の世界を見せられたようだった。
かつて三星堆は、中国文明の起源を書き換える必要があるという論争を引き起こした遺跡だった。しかし、現在の博物館が強調する点は、独自性よりも「中華文明の多元一体」だ。展示の説明にも中華文明という言葉が必ず入っている。それぞれ異なる地域と民族の文明が、最終的には一つの中華文明を形成したと説明する。古代遺物を展示する博物館でありながらも、今の中国が自身をどのように説明しようとしているのかを感じさせる空間だった。
その印象は今月1日、よりいっそう鮮明になった。この日は中国共産党創立105周年にあたり、北京の人民大会堂では、習近平・中国共産党総書記兼国家主席の出席のもと、共産党の最高栄誉である「七一勲章」の授与式と記念式典が行われた。勲章の授与式で印象的な場面は、ある家族の涙だった。カザフ族の医師のウハス・スレイマン(吾哈斯蘇来曼)さんが勲章を授与された瞬間、家族が涙を流す場面が放送を通じて伝えられた。彼は新疆ウイグル自治区で20万キロメートルを巡回し、遊牧民を40年以上にわたり診療してきた医師だ。個人の献身と家族の涙は、党と国家に献身する「模範党員」の話として再構成された。
この日は中国共産党の創立日であるとともに、民族団結進歩促進法の施行、香港返還29周年、香港国家安全維持法の施行6周年が同じ日に重なった。偶然が重なったこの日、党の政治的メッセージが、法と制度、地域統治と民族政策に結びついていることが如実に示された。
習主席は創立記念演説で中国式現代化と党の指導を強調し、「中華民族の偉大な復興」に繰り返し言及した。さらに台湾問題では、「台湾独立分裂勢力を打撃」し、「祖国統一の偉業」を推進すると明らかにした。香港とマカオについては、「一国二制度」と「愛国者が香港とマカオを治める」という原則を揺らぐことなく維持すると述べた。
同日に施行された民族団結進歩促進法は、このような流れを法律で後押しする。同法は各民族の平等を規定しながらも、中核となる目標を「中華民族共同体意識」の確立に置いている。この法律の目的は中華民族共同体の意識の制度化にある。教育と文化、言語政策にまで及ぶこの法律は、多種多様な民族を一つの政治的共同体に結びつけようという国家の意志を含んでいる。
三星堆博物館で見た青銅の仮面は、数千年前の古代の蜀の人たちが残した遺物だ。しかしその遺物を説明する言葉は、徹底的に現在のものだった。古代文明は「中華文明の多元一体」を証明する歴史であり、少数民族は「中華民族共同体」の構成員であり、香港は国家安全維持政策の成功事例であり、台湾は必ず完成すべき統一の課題に結びつけられている。
かつて中国共産党の正統性は、高度成長に大きく依存していた。最近になり成長率が鈍化し、社会問題が複雑になればなるほど、統治の重心は安全と統合、アイデンティティに移っている。このように中国当局が「一つの国家」「中華民族」を強調すればするほど、分裂に対する不安がきわだつことになる。三星堆博物館の外のいたる所でひるがえる中国の国旗「五星紅旗」の前で、「中華民族共同体」への熱意と同時に、強力な統制なしには安定の維持が困難な社会の強迫観念が重く感じられた。
イ・ジョンヨン|北京特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )