「コンピュータ、インターネット、モバイルが人間をより忙しくしたように、人工知能(AI)もあらゆる人をより忙しくするだろう」
エヌビディア(NVIDIA)のジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は17日(現地時間)、米カリフォルニア州サンノゼで開催された「GTC 2026」の記者会見で、AI時代をこのように描写した。自律的に行動しつつ目標を達成するAIエージェント(代理人)の導入拡大は飛躍的な生産性向上をもたらし、最終的に私たちをより忙しくさせるだろうという展望だ。
AIに仕事を任せると、人がやるよりもはるかに速く結果を出す。結果がすぐに返ってくるため、後続の意思決定や追加作業が必要となり、結果的に人が処理しなければならない仕事の総量が増える。ジェンスン・フアンは記者会見で「10年後、エヌビディアは7万5千人の従業員が750万のAIエージェントと共に働くことになるだろう」と予測した。従業員1人に100のAIエージェントが付くほど、このすう勢の加速を予測したのだ。
ジェンスン・フアンの主張を裏付ける研究結果もある。UCバークレーのハース・ビジネススクールのアルナ・ランガナタン教授のチームが「ハーバード・ビジネス・レビュー(HBR)」に発表した研究によると、テック企業の200人の従業員を8カ月間にわたって追跡調査したところ、AIユーザーはより速く、より広範な業務を、より長時間にわたって遂行していた。会社に求められていないにもかかわらず、自発的に仕事を増やしていたのだ。AI、特にエージェントが「もっと多くのことを成し遂げられる」という感覚にさせるからだ。
シリコンバレーの現場の雰囲気も同様だ。グーグル・ディープマインドのあるエンジニアは、グーグルのAIエージェント・ベースの開発プラットフォーム「Antigravity」を使用した結果、「作業の生産性が4~5倍に向上した」と語った。別のシリコンバレーのスタートアップのエンジニアも「アンソロピック(Anthropic)のClaude Codeは誰もが使っている。ないと業務が困難なレベルになっている」と語った。まるで武侠小説に出てくる「縮地の術」のように、エージェントが時間を極端に短縮してくれるような感覚だ。数週間かかる作業を数時間で終えたという体験談が続々と登場している。
しかし、便利さの裏には不安も潜んでいる。複数人でやるべきことを1人でやってしまうと、残りのポジションが失われる可能性があるからだ。14日に報じられたメタによる従業員の20%規模の大量削減検討は、この恐怖を現実のものにした。7万9千人あまりの従業員のうち1万5千人以上が解雇対象になりうるとの報道に対し、メタの従業員は極度の精神的苦痛を訴えた。AIへの投資を相殺しつつ、人員は少数精鋭でという経営戦略の代表例だ。
さらに大きな問題は「AI格差」だ。AIをうまく活用できる人とそうでない人との間のギャップが広がっている。アンソロピックが24日に発表したエコノミック・インデックス・レポートによると、上位20カ国が1人当たり使用量全体の48%を占めており、以前の45%からむしろ高まっていた。
Claudeの有料ユーザーでは、作業時間当たりの賃金が10ドル上がるごとに、最上位モデル「Opus」の利用率が1.5ポイント上がった。高所得の業務従事者ほど、より高性能なAIを使用しているということだ。
また、6カ月以上の長期ユーザーは新規ユーザーに比べて会話の成功率が約10%高かった。アンソロピックは「欲しい情報をより効果的にAIから引き出す方法をユーザーが習得したからだ」と分析している。AI熟練度は経験に比例して向上し、成果の格差を広げる構造となっているのだ。
AIエージェントの時代はすでに始まっており、この流れは元には戻せない。「AIバーンアウト」を防止する制度的な仕組みを整えるとともに、AI技術から取り残された人々がエージェントと共存できるよう、システムを再設計すべきだ。教育の拡充と技術へのアクセスの確保、そしてセーフティーネットの整備も急務だ。
パク・ウォニク|シリコンバレー革新メディア「ザ・ミルク」IP本部長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )