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【現場】イ・セドル九段、30分で「AI囲碁プログラム」を完成…音声指示でサクッと

登録:2026-03-09 20:47 修正:2026-03-10 07:12
スタートアップのAIによるライブ試演
イ・セドル九段は9日午後、ソウル市鍾路区のフォーシーズンズホテルで、AIスタートアップ企業のインハンスが主催した「エージェンティックAI商用化グローバルキャンペーン」に参加した=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 「とても良い成績を収めているので、勇気を持って次の一手を打ってみてください」

 人工知能(AI)囲碁教育プログラムがイ・セドル九段に語りかけた。このAIプログラムは、イ・セドル九段が30分で作り上げたものだ。イ九段はAIとの対局デモを行った後、「かなりうまく打っているようだ。人間が勝てないレベルだ」と評価した。

 9日、イ・セドル九段は10年前の2016年3月9日に「AIアルファ碁」と対局したソウル市鍾路区のフォーシーズンズホテルを再び訪れた。今回の目標は対局ではなかった。アルファ碁に敗れたことをきっかけにプロ囲碁棋士を引退した彼は、今回はAIを直接使い、『囲碁教育プログラム』を自ら作る様子をライブで実演した。

 ステージに設けられた席に座ったイ・セドル九段は、モニターに映し出されたAIスタートアップ「インハンス(enhans)」のAIオペレーティングシステム(AI OS)に話しかけ、「ユア(ガールズグループ オーマイガールのメンバー)」という名前を付けた。その後、イ・セドル九段はAIに議事録の作成を指示し、インハンスのイ・スンヒョン代表とこの日、どのような囲碁プログラムを作るかについて短い会話を交わした。

 彼らの会話を基に議事録を作成したAIは、イ・セドル九段の指示に従って囲碁教育プログラムの作成を開始した。AIのオペレーティングシステムは、プロジェクトマネージャー(PM)、開発、デザインなどの役割を分担し、AIエージェントに割り当てた。プロジェクトマネージャーを務めたエージェントが囲碁教育プログラム作成のための各種リサーチを行い、デザインを担当したエージェントが画像生成モデルで案を作成した。イ・セドル九段が3つの案の中から1つを選ぶと、開発を担当したエージェントは迅速にプログラム制作に入った。すべての指示は音声のみで行われた。

 このすべての過程を経て囲碁教育プログラムが作られるまでにかかった時間は約30分。イ・セドル九段は「バイブコーディング(自然言語でAIに指示してコーディングすること)もやってみたが、(開発知識がない状態では)何かを作るのは簡単ではなかった。しかし、このような方法でなら作れると思う」と語った。

 イ・セドル九段が作った囲碁教育プログラムは短時間で制作されたにもかかわらず、比較的彼の要望を忠実に反映した形だった。囲碁の大事な概念をわかりやすく教えるだけでなく、形勢判断などの解説機能も提供する。基本の19×19の碁盤に加えて、イ・セドル九段が初心者用に別途依頼した9×9の碁盤も作成した。囲碁教育モデルは、プログラムを実演するイ・セドル九段に対し「白石が黒石くんたちを困らせて逃げようとしています」といった解説を提供すると同時に、対局中のイ・セドル九段に対して「慌てずに一手一手しっかりついてきてくれて本当にえらいですね」と学習意欲を鼓舞した。

囲碁棋士のイ・セドル九段が9日、ソウル市鍾路区のフォーシーズンズホテルで、AIスタートアップ「インハンス」が主催した「エージェンティックAI商用化グローバルキャンペーン」に参加しインハンスのイ・スンヒョン代表と対話している=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 イ・セドル九段は現場で作った囲碁教育プログラムについて、驚くべきレベルだと評価した。イ九段は「今日来る前に(試演が失敗して)恥をかくのではないかと心配していたが、見ての通り数十分でプログラムを作った」と述べ、「人間とAIが協力することでより多くの進展があることを示したのではないかと思う」と語った。

 2016年にアルファ碁がイ・セドル九段に4対1で圧勝したいわゆる「アルファ碁ショック」以降、10年間でAIは飛躍的な進歩を遂げてきた。特に2022年にオープンAIが生成AI「チャットGPT」を公開した事件は、AIが市場を超えて人々の日常に影響を与える転換点となった。その後、AIは進化を続け、人間の仕事を代わって行い(エージェント)、現実世界で相互作用(フィジカル)するレベルに達した。

 イ・セドル九段は「アルファ碁以降、新しい何かが出てくると思っていたが(実際の登場まで)私が思ったより早くはなかった。しかし、その後のAIが示す速度や破壊力は私が考えたものより大きい」と述べた。

 インハンスのイ・スンヒョン代表は、AIと人間の協力が重要になったと強調した。過去にAIと問答を交わしていた時代とは異なり、AIエージェントの時代には複数のAIエージェントを同時に活用することで生産性を飛躍的に向上させることができる。個人がAIの助けを借りて、チームが行っていた仕事を一人でもこなせる時代が開かれた。イ代表は「過去のアルファ碁対局が人間とAIの競争を象徴していたなら、今やAIは人間と共に問題を解決する協力パートナーになっている」と述べた。

チェ・バンソク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/it/1248403.html韓国語原文入力:2026-03-09 15:57
訳J.S

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