日が短くなり、冷たい風が家の隅にまで吹き込んでくる。古いテレビからは明るく温かい歌声や笑い声が流れてくる。かすかに温かい電気カーペットに座って放送を見る人々に再びやって来た冬は、相変わらず長くて重い。一人暮らしが苦にならない御身分なら寒さは怖くないはず。3軒に1軒が単独世帯で、その中のかなりの数が困窮と孤立の中にある。その様相は一人暮らしをする人の年齢層によって大きく異なる。
経済的に余裕のある親が用意してくれた家で一人暮らしをする青年たちもいる。しかし、より多くの青年たちは考試院(シャワーや炊事場が共同の簡易宿泊施設)街、半地下、古いワンルームで家賃を払って暮らしている。彼らの一人暮らしは生活というより生存に近い。所得に比べて法外に高い住宅価格は住居の選択肢を狭める。就職難と不安定な雇用、低賃金ものしかかる。経済的負担が重くなればなるほど友人や同僚との関係は弱まり、青年たちは助けを求めるのではなく一人で耐えるやり方に慣れていく。こうして「少しの間」のつもりで始めた一人暮らしは、いつのまにか「継続」され、耐え忍ぶ暮らしが固定化する。青年の一人暮らしを自立へとつなげるためには住居、雇用、そして社会的つながりという基盤が伴わなければならない。
中年の一人暮らしは青年期の一人暮らしの延長であるケースもあるが、概ね中年期の家族関係の解体からはじまる。生計とケアの負担が積み重なり、長きにわたる確執が深まると、離婚や別居が現実となる。それに失職や早期退職が重なると関係はさらに弱まり、生活のかたちも揺らぐ。こうしてはじまった中年の一人暮らしは、性別によって異なる様相を呈する。家族を離れ、あるいは家族に去られて一人暮らしをする中年男性は、職場で構築してきた関係のネットワークが崩壊した瞬間、断絶のリスクに直面する。新たな関係を作ったり助けを求めたりすることに慣れていないため、孤立が急速に進む。中年女性は長きにわたるケア労働と家事労働によるキャリアの断絶、現在の低賃金構造の中で、貧困に陥るリスクがより高い。結局、中年の一人暮らしは、男性は孤立、女性は経済的ぜい弱さが際立つ。この時期には関係を回復すること、社会参加の道を広げること、生活を支える所得と仕事という基盤を構築することが必要だ。
高齢者の一人暮らしは概して、時間が積み重なった末に到達する暮らしの一つのあり方だ。配偶者との死別や子どもの独立で一人残される。中年期にはじまった断絶と貧困は老年期に至ってよりいっそう深まる。体は衰弱し、多くの病もかかえ、社会的接触は目に見えて減る。一日の大半を家で過ごすようになるにつれ、家は休む空間というより世と離れて過ごす場所となる。男性高齢者は職場中心の人間関係がなくなってからすでに久しく、連絡を取り合う友人も次第に減っていく。地域社会で新たな関係を作ったり助けを求めたりすることが苦手なため、孤立のリスクが高い。女性高齢者は、配偶者との死別による経済的困難と精神的孤独が際立つ。生涯のほとんどを占めるキャリアの断絶と低賃金構造は、高齢女性の貧困リスクをよりいっそう高める。高齢者の一人暮らしが孤立に陥らないようにするためには、医療・介護サービスに手が届きやすくなければならず、地域社会で人々と再びつながる道を広げなければならない。
一人暮らしの人の直面する孤立の最後は孤独死だ。孤独死は単なる「一人きりの死」ではなく、人間関係が断たれてケアが届かず、死後も長いあいだ発見されない状態を意味する。2023年に孤独死した人の半数以上は50~60代で、そのうち80%以上は男性だった。これは、社会的つながりと生活基盤を失い、一人で生きている中高年男性が、経済的困窮と健康の悪化まで重なった中で、小さな事故や病気にもすぐに対応できていないという現実を示している。孤独死は結局のところ、韓国社会がぜい弱な一個人を一人のまま放置してきたことを社会的に警告するものだ。
世代によって置かれている立場は違っても、孤立が生じる構造に大きな違いはない。そして、青年の不安定が中年の断絶へと、中年の断絶が再び高齢者の孤立へとつながる危険性は高い。一人取り残される人生ではなく、一人で暮らせる人生にするためには、住居の安定、雇用、関係のネットワークとケアのネットワークを世代に合わせてきめ細かく構築し、この孤立の連鎖を断ち切らなければならない。冬の風は一人暮らしの人たちにはいっそう厳しい。一人暮らしの顔なじみの隣人がいたら、会釈くらいは交わしてみてはどうだろうか。その短いあいさつが、この世の中はまだ温かいということを気づかせてくれるかもしれない。
キム・ジョンソク|東国大学社会学科教授、韓国人口学会長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )