韓国の所得の不平等は多少緩和される傾向だが、資産の不平等がさらに広がり、社会全般的な不平等は深刻化しているとの分析が出た。
国会立法調査処は26日、韓国保健社会研究院(キム・ギテ研究委員)に依頼した韓国の多次元的な不平等指数の研究結果を公開した。
これを見ると、2011年に0.176だった韓国の多次元不平等指数は、2023年には0.190に増加。この指数は研究チームが2011~2023年の韓国福祉パネルの資料から19歳以上の成人の所得、資産、教育、健康関連データを活用して各領域での不平等をジニ係数で表現し、計算式(H-MDI)により総合して算出したもの。多次元不平等指数が大きいほど社会全般的な不平等が深刻化しているという意味だ。
特に、所得、教育、健康の不平等のジニ係数は類似した水準を維持しながら緩やかに減少する傾向を示したが、資産の不平等のジニ係数は上昇傾向を示した。
資産不平等が多次元不平等指数に及ぼす寄与度は、2011年の25.5%から2023年には35.8%へと10.3ポイントも増加した。逆に所得(38.9%→35.2%)、教育(20.9%→16.0%)、健康(14.7%→13.1%)の不平等の寄与度はいずれも下がった。これに伴い、2011年には所得(寄与度38.9%)が多次元不平等の主な要因だったが、2023年には資産(35.8%)が所得(35.2%)と同じ水準にまで増加し、不平等の主要原因として浮上した。
世代別に見ると、若い世代で資産不平等の寄与度が目立った。2023年基準でX世代(1971~1980年生まれ)、ミレニアル世代(1981~1990年生まれ)、Z世代(1991年以降生まれ)の不平等における資産不平等の寄与度は、それぞれ42.5%、43.8%、44.7%だった。586世代(1961~1970年生まれ)は39.9%、高齢者世代(65歳以上)は31.9%で若年層に比べて小さかった。
立法調査処は「所得不平等の水準に関する統計と不平等・両極化に対する国民認識の間に乖離が存在する原因は、不平等に資産不平等が占める比重と資産不平等の深刻化」だと指摘した。国家データ処がおこなった家計金融福祉調査の可処分所得のジニ係数は、2011年の0.387から2023年には0.323に下がり、所得不平等の水準が減少したことが分かった。一方、経済・所得の両極化が深刻だという回答は81.5%(2022年延世大認識調査結果)に達するなど、韓国の国民は不平等・両極化が深刻だと体感している。
さらに研究チームは、教育領域でも不平等が深刻化した可能性に言及した。今回の調査では小幅に格差が減ったことが分かったが、指標化された資料の不足で分析に限界があったということだ。
イ・グァンフ立法調査処長は「所得再分配だけでなく不動産・税制・金融・福祉など政府の政策の全分野で不平等問題を主要な政策目標として考える必要がある」と述べた。