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【社説】少しずつ譲歩し合った米中、関係安定への「第一歩」に

登録:2025-10-31 08:25 修正:2025-10-31 09:26
米国のドナルド・トランプ大統領(左)と中国の習近平国家主席が30日、金海空軍基地内のナレマルで、首脳会談を前に握手を交わしている/AP・聯合ニュース

 世界を二分する2つの大国である米中の首脳が釜山(プサン)で対面し、最重要争点だった「レアアース輸出規制」と「トランプ関税」で互いに譲歩したことで、ひとまず休戦を選択した。世界の覇権をめぐって二大国が繰り広げるこの「戦略競争」は、短期間に勝敗が決することはなく、長期戦とならざるをえない。米中は自らの取る行動の一つひとつが全世界に大きな影響を及ぼしうるという責任感を持ち、無謀な対決ではなく対話と妥協を通じて問題を解決していくべきだ。

 米国のドナルド・トランプ大統領と中国の習近平国家主席は30日午前、釜山の金海(キムヘ)空港で対面した。第1期トランプ政権時代から6年4カ月ぶりの対面による会談だった。トランプ大統領は会談後、米国に戻る飛行機の機内で「レアアース問題はすべて解決した」として、「それは1年の合意であり、1年後に延長されるだろう」と述べた。米国はその代価として、中国から流入する麻薬物質であるフェンタニルを標的として課していた20%の関税を半分に引き下げることを決めた。敏感な台湾問題は互いに言及を避けた。

 米中が今のような殺伐とした対立を始めたのは、第1次トランプ政権時代の2017年末。米国はその年の国家安保戦略(NSS)で中国のことを、米国中心の世界秩序を自国の利益に合わせて変更しようとする勢力だと明示した。バイデン政権も、人類は民主主義と権威主義の間の転換点に置かれているとして、価値観を共有する同盟国を糾合した。同時に、中国に対する経済的依存を人為的に低くするために「サプライチェーンの再編」を主導しはじめた。この30年間、米中いずれとも友好的な関係を結ぶことで今の繁栄を成し遂げた韓国にとって、途方もない試練が始まった。

 第2次トランプ政権の発足後、対立はさらに激化した。トランプ大統領は今年2月、中国はフェンタニルをきちんと取り締まっていないとして、関税を武器として用いはじめた。中国はこのような圧力に対し、4月と10月に自国が全世界の供給を事実上独占するレアアースの輸出規制を強化するというやり方で対抗した。怒ったトランプ大統領は今月10日に「中国に100%の関税を課す」と宣言したが、この日の会談で火はひとまず消し止められた。

 習主席はこの日、「世界を代表する2つの大国が摩擦を抱えているのは当然だ」として、「中国と米国は共に成功し、共に繁栄できる」と述べた。両大国は自国の利己的な利益ではなく、世界全体のために力を合わせるべきだ。この日の合意が、両国関係が長期的な安定を取り戻す第一歩となることを願う。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1226496.html韓国語原文入力:2025-10-30 18:40
訳D.K

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