31日から2日間にわたって行われる慶州(キョンジュ)アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議を前に、「嫌中デモ隊」が慶州に集まりつつあるという。彼らは、30日に3日間の日程で訪韓する習近平国家主席ら中国代表団の入国と会議日程に合わせた反中集会を予告している。2000人規模の行事を届け出た団体もある。極右ユーチューバーたちもすでに慶州入りし、「チャイナアウト」を叫んでいる。尹錫悦(ユン・ソクヨル)弾劾反対集会の現場で「選挙介入疑惑」などの中国嫌悪を叫んできた人々が、ソウルの明洞(ミョンドン)、大林洞(テリムドン)を経て、今度は世界の視線が集まる多国間外交の空間を舞台にしようとしているのだ。
国際会議が開催される都市にデモ隊が登場するのは、馴染みのない光景ではない。慶州でも、嫌中デモの他にも米国のトランプ大統領に反対する集会など、様々なデモが予告されている。民主主義国においては、多様な意思の表出と集会・デモの自由は尊重されなければならない。しかし、まっとうな根拠にもとづく反対、批判、主張ではない、特定の国や国民に対する一方的なヘイトや排除扇動は、無制限に認めることはできない。包摂と協力を図る多国間会議の趣旨に合わないのはもちろんのこと、大韓民国の品格と国益を損なう、恥ずべき危険な行為だ。
今回の首脳会議には、21の加盟国の首脳、1700人のグローバル企業家、各国の長官・次官級の代表団、記者団など、全世界から約2万人が新羅の千年の古都、慶州に集結する。「つながり・革新・繁栄」をテーマに経済協力、DX、気候危機への対応などの議題が議論される。韓米、韓中、韓日、米中など、韓国の経済・安保上の利益のかかった二国間首脳会談も行われる。慶州にとっても地域経済の活性化の重要な機会だ。このような状況にあって、ヘイトデモで訪問客が不快感を抱いたり脅威を感じたりすれば、それは慶州市民の被害と韓国全体のイメージ失墜へとつながる。嫌中デモ隊は何を得ようとしているのか。
嫌中の声の高まりは、野党第一党の責任も重い。野党第一党の「国民の力」は、先月末から一時的に実施されている9カ月間の中国人団体観光客のビザなし入国は犯罪や不法滞在を量産するとして、「即時中止」を要求している。医療、選挙、不動産分野で中国人の韓国内の活動を制限する「中国人3大ショッピング防止法」も党の方針として推進している。またキム・ミンス最高委員は根拠もなしに、最近の株価上昇は中国の違法な資金の流入のせいだという主張まで展開している。国民の力には、反中・嫌中をあおってきたこれまでの態度を振り返るとともに、今からでも嫌中デモ隊に自制を求めてもらいたい。