4年目に突入したウクライナ戦争の行方を左右すると予想された米国・ウクライナ首脳会談が、見解の違いを露呈しただけで、むなしく決裂した。米国のドナルド・トランプ大統領が、自国のためには弱小国の重要な「安全保障の利益」を犠牲にしうるという態度を公の場で明らかにしたことで、韓国などの米国の同盟国も安全保障の対米依存度を早く下げなければならない状況に追い込まれることになった。「変化した米国」という厳然たる現実を受け入れ、しばらく止まっていた韓国の戦時作戦統制返還の議論を再開し、北朝鮮・中国・ロシアに対する「ヘッジ外交」によりいっそう努力を傾けなければならない。
トランプ大統領は先月28日(現地時間)、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領との首脳会談に先立ち、自身の執務室であるホワイトハウスのオーバルオフィスで記者団に応じた。儀礼的なあいさつを終えた後、短時間で終わる予定だったこの日の対話は、「終戦」に対する両国間の意見の違いに、J・D・バンス副大統領まで加勢する感情的な論争に発展した。
本格的な口論は、バンス副大統領が「平和と繁栄に至る道は、外交を通じてのもの」と言及したことから始まった。ゼレンスキー大統領は、ロシアが繰り返し約束を破ってきたと指摘し、「あなたが言う外交とは何なのか」と問いただした。バンス副大統領は「オーバルオフィスまで来て、米国のメディアの前でこのようなことを訴えるのは無礼」だとして、「(米国に)感謝したことが一度でもあるのか」と言い返した。トランプ大統領も「あなたは数百万人の命と第3次世界大戦を賭けるギャンブルをしている」と攻撃に加勢した。
ゼレンスキー大統領が「停戦は望むが、(安全の)保障も望んでいる」と訴えると、「ディール(取引)に応じなければ、われわれは手を引くだろう。われわれがいなければ、あなたもこれ以上戦うことはできない。あなたにはカードはない」と言い、話をさえぎった。米国が望む条件でウクライナのレアアースを開発できる「鉱物協定」を結び、ロシアのさらなる侵略を防ぐための安全保障は抜きで、戦争を終わらせるよう要求したのだ。このすべての場面はリアルタイムで全世界に中継された。それによって、米国が「責任ある覇権国」から弱小国に犠牲を強要する「利己的な強大国」に変わったという事実が広く公開された。
トランプ大統領の登場後、欧州では米国が提供してきた「拡張抑止」を英国とフランスが引き受け、自らの平和維持軍をウクライナに送る議論が具体化しつつある。韓国も準備を急がなければならない。韓国の安全保障問題を韓国が主導してこそ、国益を守るべき決定的な瞬間に、堂々と「ノー」を言うことができる。