米国のジョー・バイデン大統領と日本の岸田文雄首相は、10日に開かれた米日首脳会談で、安全保障協力と関連して武器の共同開発・生産、米軍と自衛隊間の指揮体系の協力強化などに合意した。東・南シナ海で軍事的脅威を強める中国をけん制するため、米日同盟が一層格上げされている。このような流れの中で、日本の軍備は画期的に増強されるものとみられる。けん制どころか、米国の支援を受けて日本は軍事大国化へと進んでいる。
米日の武器共同開発・生産は第三国への輸出まで念頭に置いた措置だ。読売新聞は、日本が第三国への輸出関連規制を緩和することにより、日米が防衛装備の共同生産体制を強化することになると報じた。日本政府は先月26日、英国・イタリアと共同で開発中の次期戦闘機の第三国への輸出を認めるとして「防衛装備移転3原則」の運営指針を改正した。共同開発した武器の第三国輸出が行われると、開発と生産にかかる費用を節約でき、様々な国と協力する機会も増える。実際、米英豪3カ国による安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス」は武器開発をめぐり日本との協力などを検討している。
日本は戦後、平和憲法の影響で武器輸出が禁止された国だ。ところが、第二次安倍晋三内閣時代の2014年から徐々に緩和され、今や戦闘機やミサイルなど最先端武器を生産して販売できるようになった。与党自民党では「殺傷能力のある武器」の輸出も可能にする案が議論されている。
今回合意された米軍と自衛隊間の指揮体系の改善も、これまでとは次元の異なる変化だ。これは日本が2022年12月に国家安全保障戦略を改正し、北朝鮮や中国など周辺国のミサイル基地を直接打撃する「敵基地攻撃能力」(反撃能力)を保有することを決めたことが直接的な契機になった。敵の基地を攻撃するためには、米日の高いレベルの一体化が求められる。日本が「敵基地攻撃」に使う主な武器も米国の巡航ミサイル「トマホーク」だ。1952年4月に米日同盟が結成されて以来、米国が「矛」(攻撃)、日本は「盾」(防衛)の役割にとどまってきたが、今回の指揮体系の調整を通じて両国とも相手を直接攻撃できる「矛」の役割に本格的に乗り出すことになる。
日本は敗戦後の1947年5月、現行の平和憲法を施行した後、一度も改正したことがない。戦後、岸信介(1896~1987)や安倍晋三(1954~2022)ら強硬保守政治家たちが改憲を進めたが、日本国民の反対に押され、実現できなかった。平和憲法の核心は第9条だ。その第1項は日本が「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」、第2項は「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」という内容だ。
ただちに憲法9条が改正されることは容易ではないが、内容的にはすでに意味がかなり色あせた。平和憲法が事実上「抜け殻」になっており、日本が戦争に巻き込まれる可能性が高まっているにもかかわらず、日本社会は静かだ。先日の読売新聞の世論調査では、日本国民の84%が「日本の安全保障について脅威を感じている」と答えた。中国、北朝鮮、ロシアの軍事的脅威で「日本で安全保障をめぐる不安の拡大→軍備増強→東アジアの緊張の高まり」など、当分このような「悪循環」は避けられないだろう。それを考えるだけで、気が重くなる。