日本の岸田文雄首相の米国国賓訪問を機に、米日同盟の「グローバル同盟」としての役割の強化が合意され、両国軍隊の合同作戦のための土台が設けられる見通しだ。
米政府高官らは9日、翌日予定された米日首脳会談に関する電話会見で、両国同盟は今やグローバル同盟になったとし、「日本は最も重要な同盟に属する」としたうえで、「米日関係は今や新たなレベルに到達している」と述べた。高官らは、日本がこれまで自国周辺だけに関心を傾けていたが、今は「欧州、中東、インド太平洋で何が起きても」米国と(行動を)共にする「完全なグローバル・パートナー」になりつつあると語った。
米政府高官らは、両国首脳が自衛隊の統合作戦司令部の設置計画に沿って在日米軍司令部の構造を改編し、両国の軍と産業界で構成される委員会が兵器の共同生産に合意すると明らかにした。これに先立ち、カート・キャンベル米国務副長官は、両国首脳が先端兵器の共同開発と生産に合意すると述べた。両国首脳は極超音速兵器に関する防衛計画についても協議する予定だという。
ホワイトハウスのジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は同日、別途に行った会見で、「両国の軍事力のより素晴らしい調整および統合」と「他のパートナー国との連携に向けた安全保障協力の強化」に関する措置が首脳会談で発表される予定だと述べた。また、先週初めて実施された米日比濠の海軍による南シナ海での合同パトロールが強化されると明らかにした。米日軍事協力の強化と11日に開催される米日比による初の3カ国首脳会議の主な目的が、中国けん制にあることを示唆したのだ。
サリバン補佐官はNHKのインタビューでは、ジョー・バイデン大統領が「日本の作戦指揮の機能が強化されるのに合わせて米国の作戦指揮の機能の強化をはかる」計画を明らかにすると語った。陸上・海上・航空自衛隊の統合作戦司令部の設立に合わせ、在日米軍も自衛隊との合同作戦能力の強化に向けた改編作業に着手するという話だ。これと関連して消息筋は、自衛隊の統合作戦司令部と歩調を合わせるため、在日米軍司令官を現在の中将から大将に格上げする案が検討されているとロイター通信に語った。前日には米英豪3カ国安全保障枠組み(AUKUS)の防衛相らが、日本をこの同盟の「第二の柱(ピラー2)」と呼ばれる先端兵器協力などの分野に合流させるための協議を始めると明らかにした。
米日は首脳会談を通じて、非軍事分野の先端技術協力の拡大計画も発表する予定だ。マイクロソフト(MS)は9日、人工知能(AI)分野などで日本に29億ドルを投資する計画だと発表した。両国は大学が参加するAIの開発、宇宙および高速鉄道事業の協力も発表する予定だ。
バイデン大統領は9日、ホワイトハウスのドアの前まで出て岸田首相と裕子夫人を歓迎した。また、岸田首相夫妻の歓迎式典を開いた後、ワシントンのシーフード・レストランで夕食を共にした。さらに三角テーブルと歌手のビリー・ジョエルのサイン入りLPレコードトリトグラフ(石版画)、米国の楽曲を集めたビンテージレコードを贈った。これに先立ち、岸田首相は同日午前、アーリントン国立墓地を訪れ、第二次大戦当時に米軍に服務したり日本側に協力すると疑われ不当に拘禁された日系米国人を追悼する記念碑に献花した。