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[社説]米中「戦術的妥協」へ、韓国も外交戦略の再点検を

登録:2023-11-17 00:47 修正:2023-11-17 10:17
米国のバイデン大統領と中国の習近平国家主席が15日(現地時間)、米サンフランシスコ近郊のフィロリ邸で首脳会談をおこなっている/ロイター・聯合ニュース

 米中の首脳が1年ぶりに再会し、軍事の意思疎通チャンネルの復元などに合意した。この間、強硬に対立してきた両大国はひとまず「管理モード」に入ることで「戦術的妥協」はしたものの、先端技術や台湾問題などの最重要課題では妥協する意思がないことも確認した。

 米国のジョー・バイデン大統領と中国の習近平国家主席は15日(現地時間)、米サンフランシスコ近郊の「フィロリ邸」で4時間にわたり会談し、両国の軍事分野における意思疎通の再開、人工知能(AI)規制について論議していくことなどに合意した。昨年8月のナンシー・ペロシ米下院議長(当時)の台湾訪問後、完全に断絶していた軍事分野の意思疎通チャンネルを復元し、南シナ海や台湾海峡などでの偶発的な衝突を防止する体系を再構築したことは、とりわけ意味がある。

 鋭く対立してきた両国の首脳が直に会って和解のジェスチャーを示したのは、両国の国内事情を考慮してのことだ。バイデン大統領は大統領選挙を1年後に控え経済を管理しなければならず、習近平主席もゼロコロナ廃止後も成長率の低迷、失業問題などに直面している中国経済の回復に向けて米中関係の改善を必要としている。

 しかし、台湾問題や先端技術などの最重要課題においては、両国ともに一歩も引く考えのないことがさらに明白になった。習主席は台湾問題について「中国は必然的に統一されるだろう」と述べた。また、米国の中国に対する「科学技術抑圧」に不満を表明しつつ、米国の中国に対する先端技術輸出制限政策を修正することを要求した。バイデン大統領も「米国に対抗するために使用しうる技術は中国に提供しない」と再確認した。両首脳とも「衝突と対立」は望まないと強調したものの、競争と確執は長期化すると思われる。2年近く続いているロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザ地区への攻撃などの中東の不安によって国際秩序が大きく揺らぎ、軍拡競争が加速する中、両国は世界の平和と秩序維持のために協力する義務がある。

 韓米、韓米日協力にすべてを賭ける外交を展開してきた尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は、米中の「戦術的妥協」によって生じた外交空間で、韓国が直面する安保や経済の諸課題を解決するために、さらに努力すべきだ。中国との関係を放置してきたこれまでの外交戦略の修正が必要だ。今回の米中首脳会談でも北朝鮮の核問題はほとんど取り上げられないという現実において、韓国の最大の安保課題である北朝鮮の核問題の解決のためにどのようなロードマップを作成すべきか、より重く考えていくことが必要だ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1116632.html韓国語原文入力:2023-11-16 18:11
訳D.K

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