7日、韓国の原子力安全委員会は、慶尚北道蔚珍(ウルチン)にある新ハヌル原発2号機の運転を許可した。商業運転に入る韓国で28番目の原子力発電所となる。表決で反対意見を出した2人のうちのある委員は、新ハヌル2号機の事故管理計画書が審議文書から外れたことを問題視した。福島第一原発の事故後の2016年以降、地震や飛行機衝突などの重大事故に対する事故管理計画書が原発の運転許可に必須の審査書類になったが、原子力安全委員会は本格的な審議着手からわずか1カ月の速戦即決で許可してしまった。新ハヌル2号機が来年上半期に稼動すれば、蔚珍は世界最多となる原発8基の密集地域になる。
現政権や原子力業界は、しばしば原子力発電の経済性を強調する。石炭やガス、風力、太陽光より安いということだ。だが、この計算には、建設費や運転・維持費、燃料費のような直接費用だけが含まれている。立地の際の対立や安全を管理して廃棄物を処理する外部費用は含まれていない。福島第一原発は、事故後の10年間で約13兆円を費やした。廃炉のためには40年以上の時間と最大80兆円(2019年日本経済研究センター)を出費しなければならないと予測されているが、実際のところは誰にも分からない。汚染水による対立と費用はまたどうなのか。「原子力発電が最も安い」という話は、事実の一部だけを示した偽りだ。
2011年3月11日に起きた福島第一原発の事故当日、日本政府は原子力緊急事態宣言を発令し、発電所から半径3キロメートル圏の避難を指示した。翌朝、避難指示区域は10キロメートル圏に、水素爆発が起きた午後には、さらに20キロメートル圏に拡大した。さらなる爆発が起きた3日後には、半径30キロメートルが避難区域になった。当時、そこには17万人が住んでいた。韓国の釜山市機張郡(キジャングン)と蔚山市蔚州郡(ウルチュグン)にまたがる古里(コリ)原発の半径30キロメートル内には、340万人が住んでいる。全世界で6基以上の原発が集まった原発団地のうち、周辺に住人が最も多く住んでいる場所だ。2016年9月12日に2回発生した慶州(キョンジュ)地震のマグニチュードは5.1と5.8だった。慶州の陽南面(ヤンナムミョン)の月城(ウォルソン)原発の耐震設計基準は6.5だ。古里原発と月城原発の半径30キロメートル内には、マグニチュード6.5以上の強い地震が発生する可能性がある活性断層が5つ存在するという事実が、今年初めの政府調査で遅まきながら確認されている。2000人以上が死亡した8日(現地時間)のモロッコ地震(マグニチュード6.8)は、約120年ぶりに発生した。