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原発事故から11年…安全対策費、日本は原発1基に2千億、韓国は24基で425億円

登録:2022-03-09 02:35 修正:2022-03-09 07:45
ヤン・イ・ウォニョン議員室、韓水原の資料などを分析 
日本は2.7兆円から5.7兆円へと増額 
韓国は1千億円を見積りながら400億円台に縮小 
24基の原発の安全対策費用、日本の1基より少ない
廃炉作業に向けた準備が進められている日本の福島第一原発/聯合ニュース

 韓国水力原子力(韓国の原発運営会社、略称「韓水原」)と政府は、日本の福島第一原発事故を機に1兆1000億ウォン(約1030億円)あまりの「原発安全強化対策」を立てたが、事故から11年を迎える現在までに執行した金額はその半分にも満たないことが明らかになった。日本では福島第一原発事故の後続安全対策費の算定額が、当初の2.7兆円から今年1月現在で5.7兆円へと2倍に増えているのとは対照的だ。

 共に民主党のヤン・イ・ウォニョン議員は8日、「韓水原と原子力安全委員会などから提出された資料を分析したところ、福島第一原発事故以降、国内の原発の安全強化対策の2021年末現在の執行金額は、当初発表の40%程度にすぎなかった」と明らかにした。

 韓水原は政府と共に福島第一原発事故発生直後の2011年5月、福島第一原発事故で明らかになった原発の脆弱な部分を補うため、1兆1000億ウォンあまりを投じて56の安全強化対策課題を樹立・実施すると発表している。しかし、安全強化対策の予算は当初発表の約40%の4542億ウォン(約425億円)へと縮小され、このうちすでに執行されているのは4488億ウォン(約420億円)だという。韓水原が議員室に提出した資料によると、計268億ウォン(約25億1000万円)が編成されたハヌル発電所の第2補助給水貯蔵タンク設置事業は、まだ54億ウォン(約5億500万円)が執行されていない。

 いっぽう福島第一原発事故を受けた日本の後続対策費用は当初、2.7兆円と算定されていたが、今年1月現在では5.7兆円(約60兆ウォン)と2倍以上に増加している。共同通信が日本の原発運営企業11社を調査して先月報じたところによると、11社の福島第一原発事故の後続安全対策費用の見通しは、昨年7月現在では少なく見積もって5兆4000億円だったものが、1月現在では5兆7790億円に増えている。この金額は、11社が2013~2018年に日本の原子力規制委員会に27基の原発の再稼働審査を申請した際に予想した安全対策費2兆7345億円の2倍を超える規模だ。テロ攻撃対策の追加などでコストが大幅にかさんだためだ。日本のメディアの報道によると、この金額には一部の運営会社のテロ対策費用が含まれておらず、実際の安全対策費の総額はさらに増加しうる。

 現在までに公開されているものだけで比較しても、日本の原発1基の安全対策費は平均で約2000億円(約2兆ウォン)になる勘定だ。結局、韓国の24基の原発の後続安全対策費の総額は、日本の原発1基平均の安全対策費の4分の1にも満たないことになる。

 ヤン・イ・ウォニョン議員は「提出された資料を見ると、当初の算定額の半分にも満たない予算であるにもかかわらず、予定されていた56の課題のうち、54の課題の措置が完了したことになっているが、対策の実効性を検証すべき結果報告書が不十分で、後続対策が適切に行われたのかを検証するのも容易ではない」と述べた。

 同氏は「最近、ロシアのウクライナ侵攻過程で発生したチェルノブイリ原発とザポリージャ原発の占領、蔚珍(ウルチン)の山火事によりハヌル原発の外部電源が断たれて発生した非常ディーゼル発電機の稼動などの事件事故によって、原発の安全に対する国民の関心と懸念が高まっているが、テロや自然災害に対する韓国の原発の対策は不十分なのが実情」だとし「原発の安全基準の国際的な引き上げに合わせて、積極的に安全対策を立て、予算に反映すべきだ」と述べた。

キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1034016.html韓国語原文入力:2022-03-08 15:24
訳D.K

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