日本の福島原発汚染水の海洋放出が近づいている中、韓国の政府与党が「韓国海域に及ぼす影響は微々たるもの」と述べるなど、批判世論の沈静化に全力を傾けている。原発汚染水の海洋放出に対する懸念を「怪談」だとして攻撃しながらも、漁業関係者の被害を推算し対策作りに取り組む姿は見当たらない。
科学技術情報通信部、海洋水産部、外交部、環境部長官は7日、与党「国民の力」の「我が海を守る検証TF(タスクフォース)」が国会で開いた会議に共に出席し、口を揃えて「安全上の懸念はない」と主張した。科学技術情報通信部のイ・ジョンホ長官は「多くの専門家たちが、日本側の計画通りに原発汚染水が放出された場合、それほど懸念すべき問題ではないことを科学的根拠に基づいて主張している」と述べた。海洋水産部のチョ・スンファン長官も「核種除去設備(ALPS)でろ過した原発汚染水が年間最大量で海に流れても、韓国海域に及ぼす影響は微々たるものだろう」と語った。国民の力は原発汚染水問題を野党に対する非難材料としても活用している。ユン・ジェオク院内代表は「共に民主党指導部は先週釜山(プサン)場外闘争を行い、『韓国の漁業関係者たちが深刻な打撃を受けることになる』と証明されていない怪談を流布した」と非難した。
福島原発汚染水の海洋放出については、野党だけでなく多くの国民が不安を抱いている。いかなる科学的根拠に基づいても、130万トン以上の汚染水を数十年にわたって海に流し続ければ、環境と健康、水産業がどのような被害を受けることになるかについて断定できないからだ。ALPSではトリチウムをろ過できない。その他に炭素14をはじめとする他の放射性核種がどれだけ残っているのか、日本政府と東京電力は全く情報を公開していない。このような状況で、政府与党が合理的な問題提起を慎重に検討して被害対策作りに取り組む代わりに、日本政府と東電の論理を後押しするのは理解に苦しむ。
一方、日本政府は「処理水は安全だ」と主張しながらも、これによって自国の漁業関係者たちに発生しうる被害に備え、「800億円以上」規模の支援対策を用意している。原発汚染水の放出後、水産物の消費が減った場合、漁業関係者を支援するとともに新しい漁場の開拓などにも投資するという。ところが、韓国政府の対策は漁業関係者が水産物消費の減少で直接的な被害を受けた場合は融資支援を検討するという程度に留まっている。被害規模を合理的に算定し、日本に賠償を求めようとする動きも全く見られない。政府与党は、日本を後押しする努力の一部でも傾け、韓国国民の立場に立って対策を打ち出すべきではないか。