朝鮮戦争で敵として向かい合った韓国と中国が、1992年8月24日、冷戦の影から抜け出し国交を樹立した。韓国の投資と技術が中国の労働と土地、市場に出会い、ウィンウィンの時代を切り開いた。中国は韓国の輸出の25%(2021年)を占める最大の市場となり、悪化する北朝鮮核問題の解決にも重要な役割を果たすという期待が韓中関係の支えとなった。
国交正常化30周年を迎えた今、韓中関係は危機を迎え岐路に立たされている。2016年の在韓米軍のTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備に対する中国の報復措置をきっかけに、韓国人は中国との関係に疑問を抱くようになった。THAAD問題は今月9日の両国外相会談を機に韓中関係の暗雲として再浮上した。中国がすでに配備されたTHAADの運用制限まで加えた「三不一限」を要求すると、韓国大統領室は「THAADは安保主権事項であり、決して協議の対象にはならない」として、今月末までに星州(ソンジュ)のTHAAD基地を「正常化」すると明らかにした。今回の外相会談の結果を伝える中国側の資料には北朝鮮の核問題に関する内容は全く登場せず、北朝鮮核問題の解決に向けて中国が韓国と有意義な協力をすることが難しくなったことが読み取れた。
経済分野でも、韓国が輸出した中間財を活用して中国が完成品を世界に輸出する協力・補完関係から、今は先端製品で競争する関係に変わりつつある。技術発展と自給自足を強調する中国の政策が一因だ。これに加え、米中覇権争いの中、米国が中国との先端技術のサプライチェーンのデカップリング(分離)を推進し、韓国企業はとばっちりを受ける立場になっている。 米国は半導体に続き、電気自動車、バッテリー、レアアースまで対中国サプライチェーンの断絶範囲を拡大しているが、このような流れはさらに強まるだろう。
韓国人の80%が中国を否定的に思うほど対中認識が悪化したのは、韓中関係の根本的な危機を示している。中国はこのような韓国の世論に対する責任を振り返らなければならない。王毅外交部長が韓国に向かって「5つの当然すべきこと」を提示するなど、韓国を見下し、韓国を米中関係の「駒」のように考えるような中国の態度にも変化が必要だ。
安全保障、経済、国民の相互認識、いずれにおいても韓中関係のジレンマが大きくなった。両国は互いに重要な隣人であり、関係を念入りに管理し、改善するために互いにもっと努力すべきだ。韓国は核心的な国家利益や主権がかかった問題では、大国との外交でも韓国の原則を明確に立て、積極的に説得する外交力を発揮しなければならない。中国に対する過度な市場・原材料依存を減らし、多様な代案を作りながら、韓国と境遇が似ている国家と協力を強化すべきだ。何よりも国内世論を統合し、慎重さと柔軟さを発揮する必要がある。韓中関係の新しい地図を正確に描き、道を作っていかなければならない時だ。