4年ぶりに卒業式が行われた。新型コロナウイルス感染症だけのせいではなく、卒業生が出にくいからだ。カリフォルニア州サクラメントの韓国学校。土曜日の朝9時30分になると、93人の子どもたちが集まる。大半が30分以上高速道路を走って登校する。幼児クラスから中高生の上級クラスまで、韓国語で会話や読み書きを学ぶ。韓国語に慣れていない高学年のために英語で教えるクラスが2クラスあり、そのうち1クラスは大人にも開放されている。上級クラスに上がるまでの、だいたい4、5、6年生ごろに、子どもたちは親といざこざを繰り返す。多くが来なくなる。そんな中、10年間にわたって土曜日を韓国学校で過ごした2人の女子生徒が卒業した。
ボランティアも含め、110人あまりの子どもたちが講堂を埋めた。私もやはり10年間土曜日を共にしてきたが、疑問がわいてきた。「なぜこの子どもたちは土曜日をここで過ごすのか」。20人あまりの親たちにインタビューして理由を探った。
移民第1世代の親たちは、子どもと韓国語で深く話し合いたくて来たという。5年前から通っている兄妹は、米国人と結婚した韓国人の祖母が登校させている。米国人に言わせれば「25%の生物学的韓国人」だと言える。檀君の子孫であるとの意識が骨の髄まで染み付いている世代にとって、祖母の姿勢は「愛国心」と感じられるかもしれない。4年前に米国人たちがハングル学校に登録した時、移民1世の親たちは韓国の地位が高まったと言って沸き立った。その頃からだ。幼児クラスと低学年初級クラスに移民2世の親の割合が増えたのは。彼らは言語よりも関係と文化を重視する。
「中華料理店に行ったら、子どもが『火』という字を見て『これは火だ!』と言うんです。韓国学校で学んだことをひけらかすものだから微笑ましかった。でも私は子どもたちが韓国人に囲まれていることの方がはるかに嬉しいんです」。2人の息子の父親であるアン・ジェの言葉だ。ニューヨークから来たグレース・シムは、韓国学校では勉強が多すぎるので困惑したと語った。宿題がストレスだと言って、もっと韓国文化に集中してほしいと語った。同じ文化遺産を分かち合い、同じ言葉で祖父母と話す友達ができるだけでも、それ以上望むものはないと。
韓国人配偶者よりサポートに熱心な米国人の親もいる。3人の子どもの母であるガルディープ・ダリワルと、2人の娘の父親ジム・ケラーだ。特にケラーは長女が満2歳の時、子どもと妻を韓国に送り保育園に3カ月通わせた。昨春には次女も韓国で1カ月過ごさせた。長女のサポートを自ら買って出て推進した教育だ。「幼児期に基本言語を鍛えなければなりません。韓国人のように考え、韓国に関する記憶を持つことが必要です」
最近は多重文化アイデンティティを持つ家族が増えている。アグスティナ・カランドは娘にスペイン語で、夫は韓国語で話す。娘は、韓国学校では韓国人のように感じ、アルゼンチンにいる祖母と会う時はスペイン語で話し、その瞬間その瞬間で自分のアイデンティティを決めるという。バイリンガルの教授でもある彼女は、アイデンティティの形成には言語と固有文化に関する認識が大切だと強調する。
移民1世の親も2世の親も韓国学校に来る気持ちは同じだ。自らの中にある根源を歓待しつつ、堂々たる米国市民として生きてほしいという気持ちだ。先月の韓国学校の遠足に、待機者リストに名前を載せているフローラの家族がやって来た。養子縁組した家族だ。彼らは娘のためにピッツバーグからアジア人の多いカリフォルニアへと移住してきた。母親のシャー・マブリックは言う。「フローラは様々な状況で、自分が完全には属せないと感じるでしょう。完全な米国人、あるいは完全な韓国人という感じはないでしょう。韓国文化とつながらなければ、そのような分裂を抑えたり拒否したりする怒りを覚えるかもしれません。私がその重荷を代わりに背負うことはできませんが、できるだけ多くを一緒に背負うつもりです」
アイデンティティの境界がぼやけるグローバル化の時代だ。人種の境界、心の拠り所が曖昧になりつつある。韓国に住む韓国人の境界はどうだろうか。韓国国籍という枠の中にも様々な文化アイデンティティがある。世界各地に韓国学校が建てられることを願って、韓国学校への財政支援を願ってこの文章を書いたわけではない。ましてや、この子どもたちの中から米国の長官が出るかもしれないから管理しようという話でもない。世の中が常に変化するように、韓国人というアイデンティティも変化してきたということを指摘したいのだ。米国において移民というマイノリティとして生きているから、私は韓国の中の移民1世、2世たちに、自らの中のアイデンティティを歓待しつつ、堂々と市民として自らの役割を追求してもらいたい。個人が剥奪感を持つ時間が減るほど、その社会の安全指数は上がる。社会が多様な文化アイデンティティを支援すべき理由がここにある。
アン・ヒギョン|在米ジャーナリスト (お問い合わせ japan@hani.co.kr )