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[社説]嫌悪・蔑視発言への批判に陰謀論持ち出した韓国大統領秘書官

登録:2022-05-12 06:31 修正:2022-05-12 07:54
キム・ソンフェ大統領秘書室宗教・多文化秘書官。背景は龍山の大統領執務室/ 聯合ニュース

 韓国大統領秘書室のキム・ソンフェ宗教・多文化秘書官が、同性愛を嫌悪し、日本軍「慰安婦」被害者を蔑視する発言をした事実が明らかになった。しかも、自分に対する批判に対抗して「ダブルスタンダードが蔓延する586勢力(80年代の民主化運動に関わった60年代生まれの人々)と北朝鮮を追従する主体思想派を批判したことに対する報復」だとし、陰謀論まで持ち出した。このような人物に少数者の人権と社会的共存のための高官を任せるとは、開いた口が塞がらない。

 キム秘書官は3年前、SNSに載せた文で「同性愛は精神病の一種」だと主張し、また、日本軍「慰安婦」被害者の謝罪と賠償要求を「遅れた花代」に喩えたことで、数回活動中止措置を受けたという。批判世論が高まっていることを受け、キム秘書官は11日「お詫び申し上げる」という内容の文を掲載した。しかし「同性愛も望ましいと見るよりは、喫煙者が禁煙治療を受けるように、一定の治療によって変わることができると思う」と付け加えた。謝罪を口実に、何の根拠もない嫌悪発言を繰り返したとしか言いようがない。

 キム秘書官はさらに、「秘書官任命発表後、一部のマスコミが執拗に私を攻撃している。これまで私が韓国内の586勢力と北朝鮮追従の主体思想派に対して批判し続けてきたことに対する報復だと思う」と主張した。嫌悪発言に対する極めて常識的な問題提起に対し、陣営論理を動員した陰謀論を持ち出したのだ。自分に対する批判を政治攻勢にすり替えてかわそうとする小細工としか思えない。

 宗教・多文化秘書官のポストを新設したにもかかわらず、その趣旨に真っ向から反する人物を任命した尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の決定も納得しがたい。しかもキム秘書官は韓国多文化センター代表として活動する間、傘下のレインボー合唱団団員の両親を相手に数千万ウォンの損害賠償訴訟を起こして敗訴したり、自分の車を購入する際に分割金を多文化センター名義の口座から流出させ、横領罪で罰金刑が確定されたこともあった。いかなる公職にも適切でない人物だ。

 キム秘書官はチョン・グァンフン牧師が創刊した極右系メディア「自由日報」の論説委員として尹大統領の夫人キム・ゴンヒ女史の「美貌」を称賛し、尹大統領とキム女史を「まぬけな温達(オンダル)と平岡(ピョンガン)姫」(妻の内助で夫が出世する高句麗の昔話)に喩える文を書いた。尹大統領が少数者政策の参謀の役割を果たさなければならない秘書官の地位にこのような人物にこだわるならば、それは少数者と韓国社会に対する嘲弄だ。このような人物こそ、尹大統領が就任演説で批判した「反知性主義」の象徴ではないかと問わざるを得ない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1042470.html韓国語原文入力: 2022-05-12 02:37
訳H.J

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