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[社説]北朝鮮は「通信線復元」にとどまらず南北協力に積極的に取り組むべき

登録:2021-10-01 02:35 修正:2021-10-01 08:35
金正恩国務委員長が29日、平壌の万寿台議事堂で開かれた最高人民会議第14期第5回会議で施政演説を行っている/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が、韓国に向けて自ら対話のシグナルを送ってきた。金委員長は29日、最高人民会議の施政演説で「10月初めに南北通信連絡線を復元する」との意思を明らかにした。南北関係の悪化で413日間断絶していた南北直通連絡線は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と金委員長の親書交換を経て休戦協定記念日の7月27日に復元されたが、北朝鮮が8月10日、韓米合同軍事演習を理由として一方的に断っていた。複数回の「キム・ヨジョン談話」に続き、北朝鮮の最高指導者である金委員長が自ら公開の場で連絡線復元の意思を明らかにしたことは、南北の意思疎通の扉を開くという明らかなシグナルとみることができる。

 しかし、通信線の復元を超える南北関係の進展はまだ不透明だ。金委員長は「北南関係が新たな段階へと発展していくのか、悪化状態が続くのかは、南朝鮮当局の態度にかかっている」とし、南側にボールを投げている。文在寅大統領が提案した終戦宣言に対しては「互いに対する尊重」と「二重的態度、敵視観点・政策の撤回」を先決課題として要求した。

 米国のジョー・バイデン政権の「前提条件のない対話」の提案に対しては、金委員長は「敵対行為を隠すための見せかけ」、「敵視政策の延長」と強い失望を表明した。バイデン政権が「人道支援」を言うのみで、北朝鮮の制裁緩和要求に具体的に回答しないことに不満を表したものとみられる。今回の金委員長の全般的なメッセージは「まず南北、朝米は後」の基調で、まず南北関係を改善することによって、米国から友好的な対北朝鮮措置を引き出すという構想と解釈できる。

 米中対立で国際情勢の緊張が高まり、北朝鮮の核・ミサイル問題も悪化しつつある中で、南北の意思疎通の扉を開くというシグナルが送られてきたことは肯定的にとらえられる。しかし、対話再開へと結びつけて意味ある変化を作り出すためには、南北米中をはじめとする関係国の外交的努力がより切実に求められる。文在寅政権の任期満了が約7カ月後に迫り、大統領選が近づいている中で、終戦宣言の推進をはじめとする朝鮮半島平和プロセスの再稼働が世論の幅広い支持を得るには、南北関係の実質的改善が非核化交渉の進展へとつながらなければならないだろう。北朝鮮が非核化交渉の場に出て来られるよう、韓米両国が緊密な外交協議を通じて具体的な方策を用意することが重要になった。

 北朝鮮には、通信線の復元にとどまらず、南北対話と協力に真剣に取り組むことを期待する。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1013436.html韓国語原文入力:2021-09-30 18:50
訳D.K

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