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[社説]韓国、「消費者警報」まで発令された株式信用取引2兆4千億円

登録:2021-09-28 02:37 修正:2021-09-28 08:16
金融監督院が株式信用取引投資のリスクについて「消費者警報」を発令した27日午後、ソウル中区のハナ銀行のディーリングルームでディーラーが電話をかけている/聯合ニュース

 韓国の金融監督院(金監院)は27日、いわゆる「借金による株式投資」である株式の信用取引の危険性について、「消費者警報」を発令した。証券会社から資金を借りて株を買う投資の危険性を正確に認識し、適切に対応してほしいと、個人投資家たちに格別な注意を呼びかけたのだ。「注意」、「警告」、「危険」の3段階からなる警報のうち最も低い「注意」ではあるが、金監院が株式信用取引について「消費者警報」を発令したのは初めてだ。投資家は聞き流してはならない。

 投資家たちが株を買うために証券会社から借りた資金が急増しはじめたのは、昨年の春だ。新型コロナウイルス拡大に対処するため、韓国銀行が基準金利を引き下げ、市場に流動性が豊富になったことで、投資家たちが不動産市場だけでなく、株式市場でも積極的に借金して株を買い付けたのだ。信用融資残高は昨年3月末の6兆6000億ウォン(約6200億円)から、13日には3.9倍の25兆7000億ウォン(約2兆4100億円)にまで膨れあがった。リスクを取った攻撃的投資が前例のない水準で拡散したのだ。

 加えて、株の信用取引に手を出しながら、その危険性を知らない投資家も少なくないという。信用取引は、株価が上がっている時には収益を大幅に増やす。しかし株価が下落し、証券会社が要求する水準以上に融資の担保が提供できなければ、証券会社は融資を回収するため、担保に取っていた株を強制的に売ってしまう。株価の下落期に多くの投資家がこうした「反対売買」にあえば、株価はさらに急激に下落する。実際に、株式市場が弱含みだった今年8月の1日平均の反対売買は84億8000万ウォン(約7億9600万円)で、前月の42億2000万ウォン(約3億9600万円)の2倍となった。これは今年最大だ。株価が長期にわたって上昇を続けている時には良いことずくめだった「借金による投資」が、隠していた牙をむき出しにした格好だ。

 株の信用取引は古くからの投資方式だ。にもかかわらず信用取引の危険性を知らずに投資を始めて反対売買にあい、金監院に助けを求めるケースがよくあったと金監院は明かす。残念な現実だ。商況は依然としてよくない。KOSPIは7月から9月まで3カ月連続で下落を続けている。韓国銀行が基準金利を引き上げるとともに、金融監督当局が家計負債の増加の抑制に向け、金融会社の融資限度管理を強化しているため、個人投資家が融資を受けて資金を調達する環境も日増しに悪化している。株式信用取引の危険性を認識することにとどまらず、借金をして株や不動産などの資産に投資することが依然として合理的なのか、より冷徹に振り返ってみるべき時に来ている。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1012923.html韓国語原文入力:2021-09-27 18:37
訳D.K

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