与党「共に民主党」は24日、言論仲裁法改正案を国会法制司法委員会の全体会議に付託した。25日の本会議で強行処理を行うという方針を曲げていないということだ。自由言論実践財団や改革的市民団体、進歩的法曹人団体などが相次いで表明した懸念と立法留保の要求もまったく気に留めることもなく、わが道を行くという意味だ。「自分だけが正しい」という形の自己中心的な考えと独善に他ならない。与党内部でも少なからぬ反対の声があるうえに、言論改革運動団体すらも反発している言論仲裁法の改正を強行するのであれば、その悪影響は責任を負い切れないほど深刻かつ甚大であることを明確に述べておく。
23日の自由言論実践財団の記者会見は、これまでのその他の団体の意見表明よりも重く受けいれなければならない。自由言論実践財団は、朴正煕(パク・チョンヒ)維新独裁政治のもとで「自由言論実践宣言」を行ったという理由で強制解職された後、言論の自由の本質を熟考し、これを実践するために、生涯唯一の道を歩んできた言論運動の第1世代の重鎮たちが主軸となって設立された団体だ。彼らこそ言論改革立法を最も一貫して主張してきた。そのような人たちが、言論仲裁法改正案について「1987年以後、困難の末に得られた言論の自由に、深刻な制約と萎縮の効果を引き起こしかねない」と警告した。即興的な立場表明ではない。独裁政権に全身で立ち向かって闘い言論の自由を勝ち取った経験と年輪に裏付けられた、長い苦悩と熟議の結果とみなければならない。
自由言論実践財団は「言論の自由を損なうという危険性以外にも、故意・重過失の推定に対する曖昧な基準や、立証責任をどこに置くのかに関する議論、法の実効性など、いたる所に争点が存在する」とし、「今の法案は、実益より副作用のほうが大きい」と判断した。同財団は野党「国民の力」に対しても「『チョ・グク防止法』や『言論くつわ法』などとレッテルを張り、代案の提示なしに政略的な主張ばかり繰り返している」と叱咤した。共に民主党は、言論運動家たちの「忠義の心」と、既得権を守ることだけに没頭している一部の政界とマスコミの「反対のための反対」とすらも識別できないということなのか。
共に民主党は、言論仲裁法改正の趣旨に対する反対と法案の一部条項に対する反対を正確に区別しているのか、自ら省みなければならない。民主社会のための弁護士会も23日に声明を出し、今回の改正案が言論の自由を重大に侵害しうる部分について法律的に綿密に指摘し、共に民主党の類例のない「立法スピード戦」に強い懸念を示したが、法改正の趣旨については肯定的に評価した。そのような趣旨を十分に活用できず、言論改革運動勢力が特定の法案に対してメディアの既得権勢力と同じ声を出さざるを得ないようにしたことは、共に民主党の大きな過ちだ。
共に民主党の重鎮であるユ・インテ元国会事務総長が24日、言論仲裁法改正案を強行処理する場合、大統領選挙を控え逆風を受けることになりうると懸念を示したことも、意味深長だ。ユ元総長は本紙に「『国民の力』が、昨年の委員会設置の際に常任委員長を共に民主党が独占したと追及し、結局、共に民主党は4月7日の再・補欠選挙で敗北した」とし、「今も状況が似ている。大統領選挙まで6カ月ほど残っているが、熱狂的な支持層の言いなりになるのであれば、もう一度民意により罰を受けるだろう」と述べた。
自由言論実践財団の重鎮らを始めとする多くの言論関連団体に加え、正義党までもが社会的合意を形成する国会内の特別委員会の設置を要求している。これらの意見を傾聴し取りまとめ、言論の自由を侵害する余地のある条項を修正し、虚偽・捏造報道による市民の被害の救済を実質的に保証できる法案を出すのであれば、何よりも十分な時間を確保しなければならない。長い目でみれば、むしろそちらの方が速く進める道であることを、共に民主党は忘れないでほしい。言論仲裁法改正案の強行処理を中止することを、共に民主党にもう一度強く求める。