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[コラム]文在寅大統領が「G7」に行く理由は

登録:2021-06-08 20:57 修正:2021-06-09 06:48
//ハンギョレ新聞社

 1975年、フランス・パリ近郊のランブイエ城で、米国、日本、英国、フランス、西ドイツ、イタリアの首脳が会い「主要6カ国(G6)」の初の首脳会議を開いた。冷戦のまっただ中の時期に資本主義陣営の主要国家が世界の政治・経済の主要問題を共に議論する枠組みが作られた。翌年にはカナダが合流して主要7カ国(G7)になった。冷戦が終わった後の1998年にロシアが合流しG8になったが、2014年にプーチン大統領がウクライナの領土であったクリミア半島を強制併合すると、ロシアを除いて再びG7に戻った。欧州連合(EU)は正式加盟国ではないが、1977年からは(当時は欧州共同体(EC)だった)常に議論に参加している。

 11~13日(現地時間)、英国南部の海辺のコーンウォール地域にあるカービスベイホテルで2年ぶりにG7首脳会議(サミット)が開かれる。昨年のサミットはトランプ米大統領が主宰する予定だったが、新型コロナ状況悪化のため史上初めて取り消された。今年のサミットは、新型コロナ・パンデミック以後初めて主要国の首脳が直接対面するもので、韓国はオーストラリア、インド、南アフリカ共和国と共に参観国として招待された。韓国は2年連続で招請を受けたが、昨年は会議が取り消されたので、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は今年初めてG7サミットに参加する。(2008年と2009年のG8拡大首脳会議に16カ国がゲストとして招請された時、李明博(イ・ミョンバク)元大統領が参加したことがあるが、今回とは形式と格が違う。)

 G7はなぜ韓国を招請したのだろうか?1975年に初の首脳会議が開かれた時、世界の国内総生産(GDP)でG7国家が占める比重は約80%だったが、現在は約40%に減った。2008年の米国発金融危機以後にはG7無用論が高まり、G20が別に作られた。地位が以前より弱化したG7に、世界10位の経済国家に成長した韓国、世界2位の人口大国インド、資源と情報分野での強国であるオーストラリアを含ませて「民主主義10カ国(D-10)」に拡大してこそG7の実質的影響力も大きくなり、中国けん制戦線も強化できるというのがバイデン政権の構想だ。

 今回のサミットの最大の関心事は、トランプ時代に壊れた大西洋同盟(米-欧州)を復元し、「中国に共に対抗しよう」というバイデン大統領の提案に欧州がどこまで積極的に呼応するかだ。最近、欧州国家でも中国の人権状況の悪化と技術移転の圧迫、国有企業中心の経済体制などに対する憂慮と批判が大きくなった。欧州議会は、中国との投資協定批准手続きも中止した。ドイツをはじめとする欧州国家は、中国との経済関係を大きく損なう措置には反対しているが、G7と参観国が共に中国の問題を批判する共助の姿を見せるだろう。今回のG7サミットの共同声明には、台湾海峡、香港、新疆ウイグルの強制収用所状況に憂慮を示す内容が盛り込まれる予定という報道が出ている。

 先端技術、気候変動、世界貿易機構(WTO)改革を通した新しい国際秩序構想、貧困国に新型コロナワクチンを支援するために裕福な国家がより多くの実質的貢献をする方案なども議論される。G7の招請状を受けた韓国の外交舞台が大きくなっただけに、責任と役割も大きくなるという意味だ。

パク・ミンヒ論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/998460.html韓国語原文入力:2021-06-08 20:20
訳J.S

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