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[社説]「中国の報復」への過度な懸念より落ち着いた「韓中外交」を

登録:2021-05-26 05:58 修正:2021-05-26 07:19
中国外交部の趙立堅報道官が昨年2月、中国外交部庁舎で定例会見を行っている=北京/AP・聯合ニュース

 先週の韓米首脳会談の共同声明で台湾問題が言及されたことを受け、中国外交部が「内政干渉」だと懸念を示した後、中国の報復を心配する声が少なくない。

 中国外交部の趙立堅報道官は24日、「台湾問題は純粋な中国の内政であり、いかなる外部勢力の干渉も容認できない」とし、「中国は共同声明の内容に懸念を示す」と述べた。同報道官は「関連国家は台湾問題に対する言動に慎重を期し、火遊びをしてはならない」とも述べた。韓米首脳が21日の首脳会談後に発表した共同声明で「台湾海峡における平和と安全の重要性」に言及したことに対する反応だ。

 これまでの米中新冷戦において一方にかたよらないという立場を取ってきた韓国が、今回の首脳会談を通じて韓米同盟の方向に少し進んだという評価が出ている。安全保障と先端技術分野などで両国間の協力を強調し、韓米同盟を「グローバル同盟」に強化するという方向性も示したためだ。

 しかし、韓国が中国の立場を配慮した点も少なくない。チョン・ウィヨン外交部長官は25日、今回の共同声明に中国の人権問題を反映しなかったことについて、「韓中間の特殊な関係に照らし、韓国政府は中国の内部問題に対する具体的な言及を自制してきた」と説明した。新疆ウイグルや香港に関する中国の人権問題に対する懸念が共同声明に明示されなかったのは、韓国の立場が反映された結果だという話だ。先月の米日首脳会談の共同声明では、台湾問題に加え香港や新疆ウイグル、チベット問題まで取り上げ、中国外交部は「乱暴な内政干渉」「徒党を組んで対決を扇動している」と強く批判している。

 経済的に重要な隣国であり、北朝鮮核問題を始めとする朝鮮半島情勢に大きな役割を果たす中国との関係をうまく管理していかなければならないが、中国の報復に対する過度な懸念のために、韓国が自らの外交的な選択肢を制約することは望ましくない。韓国は、国際情勢のなかで独自の立場と原則にしたがい、外交政策を広げ、意見の違いがあれば、緊密なコミュニケーションを通じて韓中関係を管理していく必要がある。

 2016年の在韓米軍のTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備の際、中国が韓国の企業や文化界などに強硬な報復措置をとり、韓中関係が大幅に悪化し、韓国国民に大きなトラウマを残した。中国も、韓国が中国の立場を考慮し、国際情勢について原則的な立場を示したという点を明確に認識し、過剰な対応を取らないでほしい。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/996644.html韓国語原文入力:2021-05-26 02:39
訳M.S

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