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米国と協力強化した韓国の電気自動車・バッテリー、中国の壁を超えられるか

登録:2021-05-25 06:23 修正:2021-05-25 15:29
韓国の完成車・バッテリー業界、中国動向を注視 
THAAD配備めぐる経済報復の経験から懸念の声高まる
現代車蔚山工場近くの野積場=現代自動車グループ提供//ハンギョレ新聞社

 現代自動車グループは2017年から自動車販売実績を2つに分けて発表している。世界全体での完成車販売量と中国以外の地域販売実績を共に公開する。THAAD(高高度防衛ミサイル)の配備をめぐる関係悪化で、中国内需市場の販売が直撃を受けており、中国を除いた数字を別途発表しているのだ。

 最近、韓米首脳会談を機に、両国が安全保障を越えて経済領域でも密接になり、SKやLG、現代自動車など国内企業が恩恵を受けられると予想される中、一方では懸念の声も上がっている。中国は巨大な消費市場であると同時に、主要原料の生産地でもあるからだ。特に、グローバルバリューチェーン(GVC)の構造を念頭に置くと、半導体より完成車と電気車用バッテリー部門において懸念材料が多い。米国との経済的・政治的同盟の強化が中国の反発を招く恐れがあり、関連企業も中国の動向を注視している。

 24日、業界によると、現代自動車と起亜の今年1~3月の中国での自動車販売台数は12万台で、昨年同期と比べて28%増えた。2016年、THAADをめぐる関係悪化によって反韓ムードが広がり、急減した現地完成車の販売量が好転したのだ。

 現代自動車グループの中国での自動車販売台数は、2016年は180万台に迫ったが、2017年は110万台に減少し、昨年は66万台に止まった。THAADをめぐる関係悪化から5年が経ったが、本格的な販売実績の回復までは道のりが遠い。

 問題は、中国が諦めるにはあまりにも大きい市場であることだ。現代自動車の関係者は「中国は単一国家としては世界最大規模の自動車消費市場を持っている」とし、「韓国にとって、中国は代表的な悩みの種であり、諦め切れない市場だ」と述べた。

 実際、中国では毎年、自動車が2千万台以上売れ、世界自動車販売シェアの20%以上を占めている。中国との関係悪化は避けなければならないのが、現代自動車をはじめ、完成車業界の共通した立場だ。昨年末、現代自動車が中国市場での販売向上対策を打ち出したのもそのためだ。

 今年4月に中国の上海で開催した高級車ブランド「ジェネシス」の現地市場進出イベントで、チャン・ジェフン社長(ジェネシス事業本部長)は「ジェネシスの大胆な旅路が新たに始まる日」だと語った。その後に開かれた上海モーターショーで、ジェネシスG80の電気自動車モデルを世界で初めて公開したのも、このような流れからだった。意欲的に中国市場の攻略に乗り出した現代自動車としては、韓米同盟の強化が中国の反発と報復につながるのは、どうしても避けたい流れだ。

現代自動車・起亜における中国での販売割合の推移//ハンギョレ新聞社

 電気自動車バッテリー業界も、中国の動向を注視している。THAADをめぐる経済報復の影響で、現代自動車同様、困難を余儀なくされた経験があるためだ。

 現在、中国ではLGエネルギーソリューションの賓鋼・新鋼工場など韓国のバッテリー製造3社の現地電気自動車バッテリー生産施設6施設が稼働中だ。3社は中国政府がTHAAD事態以後、韓国産バッテリーが入った電気自動車に補助金の支給を事実上中止し、現地バッテリーの生産と供給にも大きな支障を来したことがある。

 中国は電気自動車の最大の消費国であるだけでなく、韓国産バッテリーの原材料を相当部分供給する主な供給先でもある。中国がバッテリーのサプライチェーンの一軸を占めているのだ。中国の動き次第で、韓国の企業は苦境に立たされかねないという懸念の声が上がっているのもそのためだ。バッテリー業界関係者は「中国は政府レベルで自国企業を後押しするなど現地事業拡大は容易ではないが、市場規模が大きすぎて絶対に諦められない市場」だとし、「現地の動向を常に関心を持って見ている」と語った。

 蔚山科学技術院エネルギー化学工学科のチョ・ジェピル教授は「国内企業が作る電気自動車バッテリーの主要原料である前駆体は50%以上を中国から輸入している」とし「中国以外の国の生産品は価格が高くて原価競争力がないため、韓国のバッテリーメーカーは中国を抱え込むしか代案がない」と指摘した。

パク・ジョンオ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/996474.html韓国語原文入力:2021-05-25 02:10
訳H.J

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