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[社説]「ワクチンと平和」を課題に抱えワシントンに向かった文大統領

登録:2021-05-20 06:19 修正:2021-05-20 06:40
韓米首脳会談への参加のために出国する文在寅大統領が19日午後、ソウル空軍基地で空軍1号機に乗り、見送りの関係者に手を振っている/聯合ニュース

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が19日午後、米国のジョー・バイデン大統領との初の首脳会談のためにワシントンに向かった。文大統領は21日午後(現地時間、韓国時間22日早朝)にホワイトハウスでバイデン大統領と首脳会談を行い、新型コロナワクチンの協力と北朝鮮核問題の解決策などの懸案を論議する。現在の韓国が直面する国内外の状況をみると、どれ一つとして重要でないものはない。今回の訪米が韓米間のワクチン協力につながり、朝鮮半島の平和の端緒を再びつかむ契機になることを期待する。

 文大統領は17日の大統領府での会議で「今回の訪米を、ワクチンの協力を強化し(韓国が)ワクチン生産のグローバルハブへと進む契機にする」と明らかにした。他の外交・経済問題より新型コロナの克服に必要不可欠なワクチンの円滑な確保を最優先議題にするという意味だ。韓国政府は、11月の集団免疫の実現を目標に十分な量のワクチンを確保したというが、導入時期は大半が下半期に集中しており、国民の不安感を完全には払拭できずにいる。米国のワクチン開発技術と韓国の先端生産施設を結合するワクチン・パートナーシップを今回構築できれば、政治的な議論と不安感を払拭する大きな助けになることは明らかだ。その点で、ホワイトハウスのカート・キャンベル国家安全保障会議インド太平洋調整官が「新型コロナと戦う韓国を支援する方法を論議すると確信している」と明らかにしたことは注目される。先端生命科学の施設と技術を持つ韓国との戦略的協力は、国際的な新型コロナ支援に乗りだす米国にも肯定的に作用するはずだ。

 ワクチンに劣らず重要なのは、朝鮮半島の平和のための対話の場に北朝鮮を引きだすことだ。これは、韓国か米国のどちらか一方の意志や努力だけでは容易ではないことだ。韓国と米国がともに協力し努力する時、実を結ぶことができる。キャンベル調整官は「我々は実用的な措置を講ずる準備ができている。我々の努力は、シンガポール(朝米首脳会談)での合意と他の合意の上に構築されるだろう」と明らかにした。バイデン政権が北朝鮮核問題で韓国政府と幅広い認識を共有していることは、望ましく幸いだ。しかし本当に重要なのは、北朝鮮を交渉のテーブルに実際に出てくるようにすることだ。今回の会談では、そのための両国首脳の明確かつ実質的な意志の表現がなければならない。

 今回の韓米首脳会談は、未曽有のパンデミックと朝鮮半島の緊張が高まる時に開かれるという点で、国内外の関心がより高くならざるを得ない。「ワクチンと平和」という課題で明らかな進展を示す最初の出会いとなってほしい。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/995873.html韓国語原文入力:2021-05-20 02:38
訳M.S

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