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[社説]またしてもキム・ヨンギュンさんのような青年非正規労働者の死

登録:2021-05-08 03:03 修正:2021-05-08 09:03
6日午後、京畿道平沢市安仲邑の安仲白病院の斎場に故イ・ソンホさんの祭壇が設けられている=平沢/イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

 またしても一人の20代の青年が産業現場で命を失った。人材供給会社でアルバイトをしていた大学生のイ・ソンホさん(23)が先月22日、京畿道の平沢(ピョンテク)港埠頭でコンテナの整理作業中、構造物の下敷きとなって死亡したのだ。主に検収業務を担当していたイさんは、この日初めてコンテナ関連業務に投入された。危険で不慣れな仕事だったにもかかわらず安全教育は受けられず、安全装備さえ支給されていなかった。イさんは重機のフォークリフトと共に働いていたが、安全を管理する責任者もおらず、ずさんに作業が進められていた。一言で言って「安全の空白」状態だった。

 繰り返される労働災害に悲痛さは増すばかりだ。2018年に入社わずか3カ月で一人で危険業務をやらされ、ベルトコンベアーに挟まれて死亡したキム・ヨンギュンさん(当時24歳)、2017年に特性化高校の現場実習中にプレス機に挟まれて死亡したイ・ミンホ君(当時18歳)、2016年にソウル地下鉄九宜(クイ)駅でホームドアの修理作業中に列車にひかれて死亡したK君(当時19歳)…。産業現場での安全管理の不行き届きで若い命が失われる悲劇は、いつまで繰り返されなければならないのか。

 労働災害の犠牲者の遺族と労働界の血のにじむような努力により、重大災害処罰法が制定されはしたが、効率ではなく安全が最優先という認識は産業現場に根付いていないことを、イ・ソンホさんの死は如実に示している。財界の影響力に振り回され、処罰緩和、適用制限、施行猶予などでぼろぼろになってしまった重大災害処罰法の制定過程だけを見てもそれが分かる。文在寅(ムン・ジェイン)政権は労災死亡事故を年間500人台にまで減らすことを国政目標として提示しているが、昨年の労災による死者は依然として882人に達する。

 戦時中でもないのに1年に数百人が亡くなっていくこの「非正常社会」に立ち向かって闘うのは、いつも悲しみに沈んだ遺族たちだ。息子の葬儀を延期しているイ・ソンホさんの父親は6日の記者会見で、「息子をこのように逝かせはしない。事故原因を突き止め、責任者が処罰されるまで、この卑劣な集団と最後まで闘う」と語った。政府と政界は口先だけで「国民の命と安全」を繰り返すのではなく、一人でも多くの命を救おうという叫びに応えなければならない。「20代の憂うつな未来を語る友人たちに『ぼくたちはまだ若いんだ』と言って励ましていた」というイ・ソンホさんの死に背を向けたまま、「青年の未来」は語れない。今回の事故の真相と責任の究明はもとより、重大災害処罰法の全面補完を始めとする産業安全政策の大転換が必要だ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/994157.html韓国語原文入力:2021-05-06 18:24
訳D.K

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